rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月19日 韓国軍演習に対抗の軍事行動を又も実施(20日加筆)

 

 韓国軍の発表によると、北朝鮮軍は、 18日午後10時から黄海道長山岬一帯で100余発、同日午後11時ころから江原道長箭一帯で150余発の砲兵射撃を実施。弾着は、いずれも北方限界線(NLL)以北の海上緩衝地域内(9・19軍事合意違反)とのことである(韓国領海内への弾着は観測されず)。

 そして、こうした動きに関連して、本日、朝鮮中央通信が次のような内容の「朝鮮人民軍総参謀部代弁人発表」(19日付け)を掲載した。

〇 「敵どもは18日9時55分から17時22分まで南江原道鉄原郡一帯で数十発の放射砲弾を発射」

〇 「総参謀部は、・・今次挑発策動を特別に厳重視し、再度重大な警告を送るため、18日夜、東部及び西部前線部隊が強力な軍事的対応措置として東・西海上に脅威警告射撃を実施することとした」

〇 「前沿一帯の軍事的緊張を誘発させる無謀で刺激的な挑発行動を即時中断するべきである」

 以上のような韓国側への対抗を名目にした軍事行動は、13,14日の動きを繰り返したものと言えるが、その都度出される「総参謀部代弁人発表」を比較すると、微妙に表現が厳しくなっているようにも思える。

 北朝鮮が、今後ともこうした対応を繰り返していくつもりなのか、あるいは、時期を見て更なる先鋭化の思惑を秘めているのか、そもそも何のためにこうした行動に出ているのか、判然としない。いずれにせよ、10月31日からは、米韓空軍の大規模合同訓練(約250機参加)が開始される由であり、それへの対応が懸念される。

以下加筆部分

 前述の動きをアップした後、次のような動向が報じられた。

  • 韓国軍発表によると、北朝鮮軍は、19日午後零時30分ころ、黄海南道延安郡一帯において100余発の砲兵射撃を実施、弾着は、今回も北方限界線(NLL)以北の海上緩衝地域内(9・19軍事合意違反)とのことである(韓国領海内への弾着は観測されず)。
  • 朝鮮中央通信が同日2回目となる「朝鮮人民軍総参謀部代弁人発表」(19日付け)を掲載、その骨子は、次のとおり

  〇 「本日午前8時27分頃から9時40分ころまでの間、わが軍第5軍団前方において敵どもが再度10余発の放射砲弾を発射する軍事的挑発を敢行した」

  〇 「総参謀部は、・・・わが軍東部及び西部前線部隊にもう一度、東・西海上に脅威警告射撃を実施する指示を下達した」

  〇 「我が軍隊は、敵軍が前沿一帯での刺激的な挑発行動を即時中断することを強力に警告する」

 ただし、これまでのところ、東部地域における北朝鮮側の砲撃等は伝えられていない。また、20日の「労働新聞」も、こうした一連の動向は、報道していない。

 北朝鮮の動きからは、韓米の軍事活動に対しては、応分の対応行動を常態化させていくといった姿勢がうかがわれる。