rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年12月3日 評論「土曜日課に誠実に参加することは違えることのできない党規律」

 

 標記評論は、「すべての幹部と党員と勤労者が毎週定められた土曜日課にもれなく誠実に参加するように組織思想生活指導をより深化させること」を訴えるものである。

 評論は、それが必要な理由として、次の2点をあげている。第一は、それが「幹部と党員と勤労者が首領の革命思想と党政策のしっかりと武装するための必須的要求」であることである。これは、まさに、「土曜日課」の実質的な内容そのものであり、具体的には、「党文献(の)伝達浸透、集中学習と講演会、録画編集物(ビデオ)による学習をはじめとした集合学習など正規学習過程」を行う場となり、それを通じて「首領の思想と意図、新たに提示される党政策、我が党の不滅の革命歴史に対し、深く研究体得するようにし、討論と論争を通じて事業実践に具現していくための方途を求めることになる」ことが期待されているのである。

 第二の理由は、それが「高い組織観念を帯び、革命的修養を積むための重要な要求」であるからである。誰もがそれに恒常的に参加することによって、「組織観念を持つようになり、自らを絶え間なく革命的に鍛錬するようになる」と主張している。

 また、評論は、その方法論として、「まず、土曜日課には、誰もが漏れなく皆参加しなければならない」として、高位の地位にある者などが特権的に出席を免れることなどを戒めている。

 同時に、「誠実に参加すること」を求め、「形式的に参加したのでは百回参加しても意味がない」と戒め、「政治意識水準と実践能力を高め、党性を鍛錬する重要な契機とみなして、真摯な姿勢で積極的に参加」することを訴えている。

 そして、最後に、こうした参加を実現するための「党組織と勤労団体の役割」の重要性を強調している。

 なお、同評論に添付されている写真には、「金日成金正日主義研究室」との看板の掛かった建物から出てきた一群の党幹部の姿が映っている。

 以上のような同評論の内容からは、北朝鮮における宣伝活動の具体的な進め方がよく分かる。また、それが、幹部や党員のみならず「勤労団体」(青年同盟、職業総同盟など)に網羅されている「勤労者」に対しても基本的には同様の形で実施されていること、実施の場所としては、「金日成金正日主義研究室」(昔の「主体思想研究室」)が利用されていることなども確認できる。

 逆に、後段の内容からは、それに出席しない者や、形式的には出席しても真面目に聞いていない者などが少なからず存在することがうかがわれる。

 ただ、そうであるとしても、こうした制度を全社会的・恒常的に実施しているというのは、やはり北朝鮮ならではの徹底ぶりと言うべきであろう。