rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月23日 政論「パルチザン精神は今日も我々を呼ぶ」

 

 標記政論は、題名からも明らかなとおり、抗日パルチザン闘士の精神の継承を訴えるもの。2月8日の閲兵式の先頭に抗日パルチザン部隊を擬した隊列を登場させ、その先頭に多数のパルチザン闘士の肖像画を掲げたこととも符合する、最近の白頭山精神キャンペーンの一環と言えよう(朝鮮中央放送のニュースでも、先般来、白頭山革命戦績地踏査行軍に参加した諸機関・団体の状況を連日紹介している)。

 同政論は、まず、そうしたキャンペーンの必要性について、「敬愛する総秘書同志は、今のような時期にパルチザン精神をもう一度より高く発揮しなければならないということについて懇ろに教えられた」とし、「パルチザンと我々を完全に一つの姿に一致させることこそ革命の新たな勝利を成しとげることができる最上の方途であり近道である」と主張している。

 そして、そうした「パルチザン精神」を具体的に体現する行動として、「百折不屈」(日本語で言えば「不撓不屈」ないし「七転び八起き」か)を強調する。また、それを支えるのは、最終的には、「(首領に対する)忠実性、まさにこれが抗日パルチザンの赤い血であったし、雪の中でも凍らず火の中でも燃えない我が革命の第1世代の魂であり生命であった」としている。

 ここまでは、昔の話で、次に、その継承のため、「偉大な首領に従う道に最も価値の高い生があり、勝利がある!抗日先烈のその声が世代と世代を超えて我々の胸にこだましてくる」と主張する。

 その上で、最後に、「敬愛する総秘書同志がいらっしゃるから!この信頼、この信念であれば、いかなる奇跡も創造することができ、これを帯びれば、誰でも今日のパルチザンになる。今日のパルチザンは、本質において、火よりも熱い忠誠の心臓を帯びた熱血忠臣、自分の首領に対する熱火のような敬慕心を魂として帯びた一片丹心の人間である」として、金正恩に対する絶対的な帰依、忠誠心の堅持が成功のカギとなると主張している。

 最近の思想宣伝は、「忠誠心」と「愛国心」が主軸になっているようで、結局、白頭山精神とかパルチザン精神とかも、それを導出するための材料として用いられているように思われる。そうした宣伝の下では、路線・政策がうまくいけば、それを構想・領導した首領の偉大性の証明となり、もしうまくいかなければ、それは、幹部や人民の首領に対する「信頼、信任」が不足していたためであり、それを更に強めなくてはならないということになる。金正恩が状況困難で政策の成果が見通せない「今のような時期」にそうした宣伝キャンペーンの強化を指示したのは、実に的確な判断といえよう。