4月18日 社説「偉大な首領金日成同志が創造された白頭の革命伝統をしっかりと固守し代を継いで輝かしていこう」
4月15日の金日成誕生日には記念の社説が出されなかったので、標記社説は、事実上それに代わるものといえよう。そのことは、「4月15日は、我が祖国と民族の新紀元が開かれ、我が人民の運命開拓の前途に光り輝く灯がともされた大慶事の日である」との表現からもうかがわれる。
社説は、その金日成の業績の集大成として「白頭の革命伝統」を掲げ、その継承を訴えるものであるが、そこには、当然、今日的意義が込められている。
社説は、まず、「白頭の革命伝統」について、「主体の思想体系と白頭の革命精神、不滅の革命業績と高貴な闘争経験、革命的事業方法と人民的事業作風が集大成され」たものと説明した上で、更にその特徴を敷衍して次の3点をあげる。
第一は、「祖国と民族の尊厳と自主権をしっかりと固守していけるようにする百勝の宝剣」ということである。これは、現在の状況と結び付けられる。すなわち、「いま我が人民は党の領導にしたがって白頭の胆力と気象によって正面突破戦に総邁進」し、そこで勝利を収めているが、「(そのような)驚異的な現実は、白頭の革命伝統の無窮無尽のけん引力と生命力の力強い誇示である」との主張である。
第二は、「我々の力で社会主義建設の勝利の活路を力強く切り開いていけるようにする原動力」になるということである。「白頭の自力更生伝統が社会主義強国建設のための我が人民の英雄的進軍を力強く推動している」との主張である。
第三は、「我々式社会主義の革命的本態と優越性を力強く誇示していけるようにする礎石」であるということである。「全社会的に革命的な規律と秩序を立て、生産文化、生活文化を確立するための事業」をそれが支えているとの主張といえよう。
要するに、困難にひるまず正面から立ち向かう「正面突破戦」、自力更生、社会紀綱引締め、といった今日の戦略的重要課題は、金日成の遺産である「白頭の革命伝統」を継承するものであり、同時にその力によって推進・成就されるとの主張と考えられる。
社説は、「白頭の革命伝統」の意義をそのように説明した上で、それを固守・具現していくための方法として、つぎの3つの課題を挙げる。
第一は、「首領様(金日成)の革命歴史を体系的に、全面的に学習し首領様の不屈の業績を深く体得」することであり、そのための革命伝統教育を強化することである。ここで直接言及されてはいないが、「白頭山革命戦跡地踏査行軍」などは、その際たる例といえよう。
第二は、「金正恩同志の思想と領導を心と志を一つにして忠実に奉じる」ことである。それがすなわち「白頭の大業を輝かしく実現していくことのできる決定的担保になる」と主張する。
第三は、「白頭山精神で正面突破戦の進撃路を力強く切り開いていく」ことである。
全体を通じてみると、課題の第一を除くと、「白頭の革命伝統」ないしその継承と今日の「正面突破戦」貫徹(=金正恩への忠誠)が互いに互いを支え担保するものと位置付けられ、いわばトートロジーのような印象を受ける。換言すると、このような論理構造は、「白頭山での抗日パルチザン闘争」という一種の神話の上に、すべての価値が一蓮托生的に存在しているという北朝鮮の体制イデオロギーの現状を反映しているとも考えられる。