rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月18日 炭鉱での「愛国炭増産運動」を模範とした宣伝キャンペーンを開始

 

 本日の「労働新聞」は、「全人民的愛国運動の火の手を強く燃え上がらせる強い志向と意志」と題する記事を掲載し、「各地の多くの幹部と勤労者が去る5月8日付け(「労働新聞」)に掲載された記事『平南炭田の愛国炭鉱夫集団』を読んで慈江道供給炭鉱労働階級にこれまでで延べ2万4000余通の手紙を送ってきた」と報じ、同記事に発奮して、それぞれ増産などに取り組んでいる諸部門・単位の事例を紹介した。

 また、「追いつき追い越す、追いつき学ぶ、経験交流運動をより活発に展開しよう」と題する社説を掲載し、「慈江道供給炭鉱において燃え上がった社会主義愛国炭増産運動の烽火は燎原の火のように国のすべての炭田と職場へと急速に拡大している」として、「すべての部門と単位において、追いつき追い越す、追いつき学ぶ、経験交流運動を単位の運命を左右する鍵、単位発展の基礎、出発点とみなし、生産と建設、経営活動の全過程を競争意識を倍加し革新しようとの志向と熱情を最大に噴出させる効果的な契機として一貫させなければならない」と訴えている。

 ここで言及されている5月8日付け「平南炭田の愛国炭鉱夫集団」との記事は、「社会主義愛国運動を力強く展開することについての党の呼びかけを高く奉じ社会主義愛国炭増産運動の火の手を燃え上がらせた价川地区炭鉱連合企業慈江道供給炭鉱労働階級に対する話し」とのサブタイトルが示すとおり、慈江道供給炭鉱(これは慈江道に供給する石炭を掘る炭鉱という意味であろう。所在地は、平安南道)の労働者が増産運動を通じて4千トンの石炭を増産するに至った経緯・背景などを紹介したものである。同記事が主に強調しているのは、①同炭鉱でのこうした増産運動は、同炭鉱の過去の増産運動の伝統を継承したものである、②そうした増産運動の最大の動力となっているのは、党の恩恵(特に育児政策)に対する労働者の報恩の気持ちである、③運動が実効性を発揮できたのは、その展開を組織する幹部が平素から労働者のために献身して労働者の信頼を得ていたためである、ことなどである。

 なお、17日の朝鮮中央放送のニュース番組でも、「平南炭田の愛国炭鉱夫」に見習って増産運動に取り組む各地工場従業員の声などが紹介されており、こうした活動が全国的キャンペーンとして展開され始めたことがうかがえる。

 こうした刺激策がどの程度の効果を期待できるのか、(疑問を持ちつつ)注目したい。