rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年6月19日 党中央委第8期第8回全員会議の開催状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、6月16日から18日までの3日間開催された標記会議の開催状況をまとめて報じる記事を掲載した。

 同会議報道に関し、韓国、日本などの報道では、先の衛星打ち上げ失敗に言及し、担当幹部を批判したとされたことなどが注目を集めているが、何よりも、注目されるべきは、金正恩の存在感が従来になく希薄になったことであろう。

 記事からうかがわれる、その具体的な現象としては、まず、従前通例となっていた同人が会議を「司会」したとの記載がない(「参席」のみ)。また、議事に関して、同人による報告、発言(開幕辞、結論、結語など)を示す記述もない。添付の写真にも同人の演説中の姿などは含まれていない。今後、朝鮮中央テレビの画像などで確認する必要があるが、同人は、今次会議では、そうした活動を行わなかった可能性が高いと考えられる。一方、最重要と思われる第1議題の内外政策に関する報告(報告者は明示されず)の中では、「政治局」が主語として頻繁に用いられている。これは異例の表現と言える。

 もちろん、記事中には、随所で金正恩を称賛し、同人への忠誠を訴える文言が繰り返されており、同人の党中央における「首位」としての地位に基本的な変更が生じたとは考えられない。同人の最側近である趙勇元組織秘書が複数の報告(あるいは第1議題も含めて)を行っていることも、それを裏付けるものといえる。

 ただ、そうは言っても、やはり、今次会議の場面に限ると、金正恩の存在感低下は否定できないのではないだろうか。その理由・背景は、衛星打ち上げ失敗がその一つになっている可能性は提起できるものの、正確な所は、今後の検討課題としかいいようがない。

 とりあえず以上を指摘し、会議の詳報は、追って記載したい。