rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年10月30日 評論「千万人民の胸の中により強く刻まれた信念 敬愛する総秘書同志の領導は科学であり勝利である!」

 

 標記評論は、本日の「労働新聞」第1面全面を費やし、「今年を偉大な転換の年、変革の年として輝かせるための闘争の旅程を振り返って」との副題を付して掲載されたものである。

 前段は、「最上の境地において輝かせて下さった我が国家の尊厳と位相」との見出しの下、「首領が偉大であれば、国も強大な国、人民も尊厳高い人民として栄光を轟かすことになる」と主張し、「尊厳」と「栄光」が発揮された今年の出来事を列挙している。

 そこで掲げられるのは、①朝鮮人民軍創建75周年、祖国解放戦争勝利70周年、共和国創建75周年を慶祝するため実施された閲兵式、②「新型大陸間弾道ミサイル『火星砲18』型の試験発射」や「初戦術核攻撃潜水艦」の進水、③金正恩のロシア公式親善訪問、④最高人民会議第14期第9回会議での憲法への「核」規定などである。

 このうち、③については、「世界政治情勢の流れを確固として主導していく主体朝鮮の国際的地位と影響力が全世界に再度力強く誇示され、我が人民は自主政治の巨匠、正義と平和の偉大な守護者を高く奉じた民族的矜持と幸運を再度心臓深く切実に感じた」と称賛している。また、④については、「この歴史的会議は、我が共和国の戦略的地位と重さをもう一度非常に増大させる事変的な契機であった」と位置付けている。

 後段では、「人民の尽きることのない真情―我々の元帥様がいらっしゃるがために!」との見出しの下、主に人民生活に関連する実績として、党中央委員会全員会議、最高人民会議などにおける金正恩の指導内容に基づき築かれた、「目を見張らせるように建立された新街区と村々、社会主義文明の高さを象徴し立派にそびえる記念碑的建築物、黄金山、黄金野、黄金海を歌う我が祖国の山と野原、海・・・」が論じられている。そこでは、「2023年の類まれな豊作もその中の一つ」として言及されている。

 そして、そうした成果、経験を通じて、「(人民は)敬愛する総秘書同志さえいらっしゃればすべての夢と理想が現実へと花開いていくということを実生活で、肺腑で切実に感じており、その方が構想され決心されれば無条件に必ずなるという信念と意志をより固く不変のものとして固めている」、「敬愛する総秘書同志は、我が共和国の不敗の力であられ、勝利の象徴であられ、その方の構想と決心を実践する道に我が国家の繁栄があり、自らの幸福、愛する息子娘の明るい未来があるということが千万人民の確固不動な信念である意志である」ことを繰り返し主張している。

 同評論が主張するように、人民が本当に金正恩の「構想と決心」に対する信頼を堅持しているのであれば、敢えてそれを改めて主張する必要もないのではないだろうか。「労働新聞」第1面にこうした大論文が掲載されること自体が、今日、そうした「信頼」の扶植が非常に重大な課題となっている(換言すると、「信頼」が揺らいでいる)ことの反映なのではないだろうか。