rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年9月23日 評論「我が国家第一主義はすなわち首領第一主義である」

 

 標記評論は、昨日の本ブログで論じた点(対外的権威の発揚を根拠とした金正恩の偉大性主張)をまさにそのまま敷衍している。以下、つまみ食い的ではなるが、それを端的に示す個所をいくつか紹介したい。

 まず冒頭では、今次訪ロ成果を前提に、「今、我が人民は、精力的な対外革命活動によって、反帝自主を理念的基礎とする朝ロ関係の新たな章をひらかれ、世界政治地形における根本的な変化をもたらされ、我が共和国の国際的地位と影響力を万邦に高く轟かされた敬愛する総秘書同志を敬謙に仰ぎ、首領の偉大性こそ祖国の偉大性であるという哲理を改めて熱く刻んでいる」として、「我が共和国は、世界が認定する自主強国、不敗の社会主義国家である」と主張する。

 そして、そうした対外的権威と金正恩の関係について、「我が国家が育てた絶対的力と勝ち取った不滅の名声は、敬愛する総秘書同志の特出した偉人性と一つに結びついている」と主張した上で、それを根拠に表題ともつながる、「我が祖国は偉大な金正恩強国であり、我が国家第一主義時代は栄えある金正恩時代である」との定言を打ち出している。

 更に、そうした国家的威信が国民個人に及ぼす影響について、「日に日に高まる主体朝鮮の国威と位相は偉大な領導者を奉じた我が人民の民族的矜持と自負心をより一層培ってくれている」と主張する。

 評論は、こうした一連の主張の結論として、「すべての幹部と党員と勤労者は、敬愛する総秘書同志を高く奉じて生き革命する大きな矜持と自負心を心臓深く堅持し、我が共和国の尊厳と国力を万邦により高く轟かすための今日の全人民的進軍において忠誠と愛国の無限の力と熱情を余すところなく発揮していかなければならないのである」として、日々の活動での奮闘・献身を訴えている。

 以上のような主張は、北朝鮮指導部が今次訪ロ結果をもって国内的に何を訴えようとしているかを実に端的に示しているといえよう。

 なお、傍論であるが、冒頭の朝ロ関係についての「反帝自主を理念的基礎とする」との表現は、本ブログで主張する「敵の敵は味方」論理に基づく関係強化という見方をある意味で裏付けているともいえよう。ただし、北朝鮮はともかく、ロシアが「反帝」を理念としているのかは、大いに疑問である。ウクライナという異民族も包含した大ロシアを建設しようとの姿勢は、ある意味、「帝国主義」そのものではないだろうか。やはり、それは「反米」の言い換えに過ぎないとみるべきであろう。