rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月9日 代議員選挙のための「選挙者会議」開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記に関する朝鮮中央通信の「各地選挙区で代議員候補者の資格審議のための選挙者会議が活発に開催」と題する記事を第1面に掲載した。同記事の注目される部分は、次のとおりである。

  • 「選挙者会議には、選挙者の意思を代弁できる該当区(分区)選挙委員会メンバーと選挙区内の機関、企業所、団体の幹部、勤労者が参加した」
  • 「(それら)会議では、代議員候補者が人民の代表としての資格を十分に備えているかということを候補者の経歴と功労内容、資格基準、選挙者の意見に基づいて公正に審議評価している」
  • 「選挙者会議では、高い愛国心と人民に対する滅私服務精神を体質化し、国家発展と人民の利益実現のため献身的に奮闘している幹部と勤労者の中から多数の支持票を得た人々が代議員候補者として登録されている
  • 「8日現在、平壌市、黄海南道南浦市をはじめとした諸地域において道(直轄市)人民会議代議員候補者の資格審議のための選挙者会議が締めくくられ、登録された代議員候補者に対する紹介宣伝事業が引き続き行われている」

 同記事内容(特に下線部)は、まさに昨日の本ブログで紹介した新たな代議員選挙方法が既に実施されていること、とりわけ、地域の一般労働者等も参加する「選挙人会議」における投票によって、複数候補者のうちから最終的な代議員候補者を選定していることを明らかにしたものとして、注目される。

 また、そうした代議員候補者選出方法が道(直轄市)レベルで行われていることも明らかになった。市(区域)・郡レベルでも、当然、それが適用されるのであろう。中国のようにこうした選挙改革が基層レベルに止まるものではないということは、今後の最高人民会議代議員選挙での当該方法適用の可能性をうかがう上でも、重要な意味があろう。

 今後は、選挙に向けての「候補者に対する紹介宣伝事業」の具体的態様や投票時における秘密保障の実態などが注目される。

 いずれにせよ、こうした選挙方法の変化は、当面、「忠誠競争」の枠を出ないものとはいえ、北朝鮮の政治運営における、それなりに画期的な出来事と評価すべき事柄と考える。