rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月2日 各級人民会議代議員選挙法の修正内容

 

 本日付けの朝鮮総連機関紙『朝鮮新報』は、去る8月30日、最高人民会議第14期第27回全員会議における標記修正内容に関し、「『民主朝鮮』に記載された法規解説による」とする解説記事を掲載した。そのうち、注目される点は、以下のとおりである。

  • 「政党、社会団体、選挙者(有権者の意)は、法が定める範囲内で選挙宣伝を自由に行うことができる。・・・代議員候補者に対する宣伝は、代議員候補者登録が終わった時から行う」
  • 「代議員候補者に対する紹介は、区選挙委員会が組織するところにより、里(邑、労働者区、洞)事務所と人民班、企業所、団体別に行う」
  • 「代議員候補者は、登録が終わり次第、1~2日間、該当選挙区に出向き、選挙区の実態を了解し、選挙者たちとの出会い集会も開催しつつ、直接、自己紹介を行い、決意も固めなければならない。市(区域)、郡選挙委員会と区選挙委員会では、代議員候補者が選挙者たちとの出会い集会を行うことができるよう必要な条件を保障しなければならない」
  • 「(投票所の)投票室は、投票の秘密が保障されるように、選挙日3日前までに準備する。投票室には、『賛成』と『反対』の文字を貼った異なる色の投票箱2個を設置する」

 各級人民会議代議員選挙法の修正を受けた新たな代議員選挙(11月26日実施予定)の実施方法がどのようなものになるのか非常に注目してきたところだが(10月17日付け本ブログ参照)、以上のような規定から、その態様は、次のとおり推測できる。

  • 各選挙区に2人以上の立候補者は想定されておらず、あくまでも1人の候補者について信任を問う。
  • ただし、各候補者に対する「賛成」「反対」については、投票の秘密を保障することにより、実際に有権者の自由意思が反映されるようにする(「反対」が「賛成」よりも多ければ、「落選」ということになるのであろうが、その場合は、再選挙を実施か)。
  • そのため、代議員候補者は、各選挙区において、有権者に直接、自己の所信などを訴える「選挙宣伝」を行う必要が生じる。

 こうした代議員選挙を行う狙いは、選挙を通じて、人民の間で余りに不人気な幹部については、「落選」はしないまでも、「反対」票の比率を通じて、その不人気ぶりを赤裸々に開示する(仮にそのまま公開はしないにしても、中央には報告されるであろう)ことを通じて、幹部に対し、金正恩がかねて訴えてきた「人民の忠僕」としての執務姿勢の徹底を求めることにあるのであろう。

 今後、26日の投票日に向け、どのような「選挙宣伝」が行われ、投票結果がどのような形で公表されるのか、一層注目される。