rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月11日 各級人民会議代議員の新たな選挙方法について(補足)

 

 標記に関し、ある方のご厚意により、『民主朝鮮』に3回にわたり掲載された「法規解説」記事を入手できた。概ねの内容は、『朝鮮新報』及び聯合通信の記事などで把握済みであるが、それ以外で新たに判明した点などに関する部分は、下記のとおりである。

 結論を先に書くと、最重要な点は、この新たな選挙方法が最高人民会議の代議員選挙にも適用されるものであることが明らかになったことである。

 また、選挙者会議への参加者は、当該地区の機関、企業所等の「責任幹部」及び「核心群衆」(忠誠度が高いと認められている者)らとされているが、代議員候補者の登録の決定は、「秘密投票」によって行われることも注目される。「秘密」であるばかりか、企業所等の責任者も「核心群衆」も同じ一票ということになる。

 このほか、本選挙において、投票者の過半数以上の「賛成」票を得られなかった場合は、「当選者なし」とするというのも興味深い。その選挙区からの代議員はなしということであろうか。 

『民主朝鮮』法規解説

「修正補充された各級人民会議代議員選挙法について(1) 代議員候補者の推薦及び登録において提起される法的要求」(10月18日付け掲載)

  • 「代議員候補者は、選挙者(複数)が直接推薦し、あるいは政党、社会団体が共同で又は単独で推薦する」
  • 「代議員候補者の推薦は、固定指標対象、選抜指標対象を選抜する方法で行う。固定指標対象を選挙する選挙区では1名を、選抜指標対象を選挙する選挙区では、地域別、部門別、職業別、職級別、男女別の均衡を合わせて2名を定める原則で代議員定員数より多く選抜する」
  • 「選挙者会議には、選挙者の意思を代弁しうる該当区(分区)選挙委員会メンバーと選挙区内の機関、企業所、団体の党、行政責任幹部、核心群衆が参加する」
  • 「選挙者会議参加者規模は、最高人民会議代議員選挙時には300名以上、道(直轄市)人民会議代議員選挙時には200名以上、市(区域)、郡人民会議代議員選挙時には100名以上とする」
  • 「各級人民会議代議員登録の決定は、選挙者会議において参加者が秘密投票の方法で行う」
  • 「固定指標対象として推薦された1名の代議員候補者に対する投票では、選挙者会議の参加者半数以上の支持票を受ければ候補者登録を決定し、半数以上の支持票を受けられない場合には別の候補者を推薦し選挙者会議を再度開催する」
  • 「選抜指標対象として推薦された2名の代議員候補者に対する投票では、支持票を多く受けた1名の対象についてのみ候補者登録を決定し、支持票が同数の場合は、選挙者をより参加させて追加投票を行い候補者登録を決定する」

 

「修正補充された各級人民会議代議員選挙法について(2) 選挙宣伝において提起される法的要求」(10月20日付け掲載)

  • 「政党、社会団体、選挙者は、法が定める範囲内において選挙宣伝を自由に行うことができる。・・代議員候補者に対する宣伝は、代議員候補者登録が終わったときから行う」
  • 「代議員候補者に対する紹介は、区選挙委員会が組織するところにより、里(邑、労働者区、洞)事務所と人民班、機関、企業所、団体別で行う」

 

「修正補充された各級人民会議代議員選挙法について(3) 投票及び投票結果の確定において提起される法的要求」(10月21日付け掲載)

  • 「投票は、無記名投票方法で行う」
  • 「選挙者は、(当該の候補者に)賛成ならば選挙票を『賛成』投票箱に入れ、反対ならば『反対』投票箱に入れる。選挙者が投票するとき、投票室には誰も立ち入ったりのぞき見たりすることができない」
  • 「登録された代議員候補者は、該当選挙区において投票した選挙者の半数以上が賛成することにより当選者として確定する。投票に参加した選挙者の半数以上の賛成を受けられなかった場合には、当選者がないものとする」
  • 「当選した最高人民会議代議員は中央選挙委員会が、道(直轄市)人民会議代議員は該当道(直轄市)選挙委員会が、市(区域)、郡人民会議代議員は該当市(区域)、郡選挙委員会が発表する」