rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月8日 社説「地方人民会議代議員選挙を高い政治的熱意と労力的成果で迎えよう」(加筆版)

 

 標記社説は、「新たに修正補修された各級人民会議代議員選挙法により初めて実施されるこのたびの選挙」の意義を解説するとともに、その実施に向けた課題を提示するものである。以下、前者を中心に紹介したい。

 社説は、その意義について、まず総論的に、「我が共和国を尊厳高く強力な不敗の強国として転変させ、我が政権を主体の人民観、人民哲学を徹底して具現していく真正な人民の政権として強化発展させていく上で重要な旅程標となる」とした上で、具体的に2点をあげている。

 第一は、「我が国家の尊厳と発展の礎石である一心団結をより盤石に固める」ことである。すなわち、「共和国を忠義の心を尽くして最も熱烈に、最も固く、最も熱く奉じる人民の真正な代表、真の従僕によって地方主権機関を編成」することで、「党中央の思想と路線貫徹において革命的転換が起きることとなり、革命隊伍の一心団結の威力はくまなく強化されることになる」というのである。

 第二は、「我々式社会主義の優越性をより高く発揚させる」ことである。何故なら、「今次選挙では・・国家と人民を良心で、信念で、心臓で奉じることのできる人、我が党、我が国家、我が人民のため一つでもより有益で立派なことを求めて行う人としてしっかりと認定される代表が代議員として選出されることになる」からである。「とびぬけて高い愛国心、愛民精神を体質化し、国家発展と人民の利益実現のため献身的に奮闘していく人民の忠実な従僕によって各級主権機関が強化され、すべての事業を徹頭徹尾人民の要求と利益に即して進行していくことができるようになる」というのである。

 選挙に向けた課題としては、1番目に、「代議員選挙を意義深く迎えるための革命的雰囲気で全社会が沸き立つようにしなければならない」として、新選挙方法の意義等に関する宣伝・学習活動の徹底を呼び掛けている。2番目は、「今次選挙を誇らしい労力的成果で輝かすための増産闘争、創造闘争」を展開することである。

 同社説には、残念ながら新たな選挙法の下での代議員の具体的な選出方法などを示唆する内容は含まれていないが、前述のような内容(特に下線部)からして、金正恩への忠誠、人民への奉仕などといった原則の範囲内において、あるいはそうした原則への忠実性を競う形で、代議員候補に対し、何らかの「選別」がかけられることをうかがうことができる。そうした方向性は、11月2日付けの本ブログで推測したとおり、「幹部に『人民の忠僕』としての執務姿勢の徹底を求める」ものであるといえよう。

 それにしても、下線部の表現からは、それでは、従前の代議員は、一体どのような人たちであったのかとの疑問を抱かざるを得ない。

以下加筆

 本日の韓国聯合通信の報道によると、上記選挙に関し、『民主朝鮮』(11月8日付け)が次のとおりの記事を掲載した由である。

・ 一部選挙区では、代議員候補者2名を推薦

・ 数百名規模の「選挙者会議」において、候補者の「資格審議」の上、投票で候補者を決定。「資格」基準は、「忠実性」「革命性」「愛国心」「道徳品性」など

 本選挙では、複数候補はないが、候補者選定の過程で、絞り込みを行う選挙区もあるということになる。それと本選挙での「否認」票投票の秘密保障の2段階で、代議員の「人民性」確保を図るということのようである。