2024年1月5日 金正恩の「重要軍用台車生産工場」現地指導を報道
本日の「労働新聞」は、金正恩が「大衆(労働者)の精神力と愛国的熱意を非常に高め、連日生産的高揚を起こしている重要軍用台車生産工場を現地指導」したことを報じる記事(「現地指導」の日付は記載せず)を掲載した。その骨子は、次のとおりである。
- 同行者:「尊敬するお嬢様」。趙春龍、趙勇元、李日煥、金与正及び「ミサイル総局指導幹部」
- 金正恩評価事項:「増産闘争、創造闘争を力強く展開し・・発射台車生産目標を超過遂行し(たこと)・・を高く評価」、「技術革新運動と各種大衆運動を積極的に展開し・・思想教養事業をすべての事業の位置付けている・・ことについて大きな満足を表示」
- 金正恩指示事項①:「当面の発射台型別生産計画と展望的な生産計画及び生産能力造成に対する課題を明示」、「工場能力拡張に関連した重要措置も取って下さった」
- 金正恩指示事項②:「生産成果を左右する鍵となる要因は、ほかでもなく生産者大衆の思想と信念問題である」とした上で、「思想教養事業を一貫して強化」するよう指示
なお、韓国「聯合通信」の報道によると、同記事の添付写真には、大陸間弾道ミサイルである火星18型及び17型用の台車が写し出されているという。
金正恩が2日の農業機械展示会場視察に次ぐ、訪問先として同工場を訪問したのは、まさに、今年も経済と国防の並進路線を追求するとの姿勢を象徴的に示すものといえよう。
ちなみに、金正恩による「重要戦略武器台車生産実態」の視察は、昨年8月6日にも重要軍需工場視察の一環として報じられており、今次訪問報道は、それに次ぐものとなる。
これら一連の軍需工場視察に共通するのは、従業員の「思想、信念問題」が繰り返し強調されていることである。こうした生産活動における思想的側面重視の姿勢は、軍需工場のみならず、経済活動全般における、このところの潮流を反映したものといえる。
また、子細な点であるが、同行幹部の報道において、今次中央委全員会議で政治局委員・秘書に昇格した趙春龍軍需工業部長の名前が、常務委員である趙勇元組織秘書の前に置かれているが、これは、両人の公式な序列を反映したものではなく、軍需工場への「現地指導」という状況に即した一時的なものとみるべきであろう。添付写真でも、趙部長が金正恩の間近で説明等をしているのに対し、趙勇元組織秘書は、やや後ろに控えている姿が多く示されている。なお、添付写真中に金予正の姿はみえない。