rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年1月10日 金正恩の重要軍需工場現地指導を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が1月8,9日の両日、重要軍需工場(複数)を「現地指導」したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。なお、記事には、訪問先の工場の名称、所在地などは一切明らかにされていないが、戦術弾道ミサイル用と見られる発射台車が所狭しと並べられている工場構内の写真が多数添付されている。

  • 同行者:趙春龍、金在龍、呉秀容(以上党秘書)、強純男(国防相)、金正植(党軍需工業部副部長)、金予正、張昌河(ミサイル総局長)
  • 金正恩の工場に対する指導内容:生産への取り組み状況、実績などに対し「高く評価」「大きな満足の意を表示」の上で、「2024年度の国防力強化闘争でもさらなる飛躍的成果」を求め、「より多くの兵器戦闘技術機材を生産することのできる発展した生産工程の確立と絶え間ない生産能力の拡張、革新的な改修・近代化目標の実行を恒久的にとらえて積極的に推し進めるべきであると強調」。同時に、「最近、軍需生産の手配で現れている一連の欠点を指摘」の上、「主要生産指標を展望的観点から専門性と自立性、工場能力と現行政策対象優先視の原則に基づいて、改めて合理的に、効率的に調節する」よう指示
  • 金正恩の対韓認識・政策関連発言:「大韓民国という実体を今や、朝鮮民主主義人民共和国の最も敵対的な国家として規制すべき歴史的時期が到来」、「大韓民国のやからを我々の主敵に断定し、・・敵対国との関係で我々が第一に重視すべきことは一にも二にも自衛的国防力と核戦争抑止力の強化である」、「大韓民国がわが国家を相手にあえて武力使用を企図しようとしたり、われわれの主権と安全を脅かそうとしたりするなら、そのような機会が与えられるなら、躊躇することなく手中の全ての手段と力量を総動員して大韓民国を完全に焦土化してしまう」

 金正恩の軍需工場現地指導は、5日報道分に続くもの。この際は、訪問の日付を明らかにしなかったが、今回は明示している(違いの理由は不明)。また、前回同行した「尊敬するお嬢様」は今回は同行せず。

 今次の発言内容は、「主敵」「大韓民国を完全に焦土化」といった表現は過激だが、基本的な趣旨は、党中央委員会第8期第9回全員会議以来の延長線上のものといえる。むしろ、その表現は、韓国側の北朝鮮に対する「核使用を企図するなら政権終焉」などの表現をそのまま繰り返したもののような印象を受ける。