rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月7日 金正恩の西部地区重要作戦訓練基地への現地視察を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が3月6日、朝鮮人民軍西部地区重要作戦訓練基地を「現地視察」したことを報じる記事を掲載した。同記事の骨子は、次のとおりである。

  • 同行者等:朴正天党秘書・軍事委副委員長、迎接者:強純男国防相、李英吉総参謀長、総参謀部副総参謀長、戦闘訓練局長、重要任務遂行部隊部隊長(複数)をはじめとする朝鮮人民軍指揮メンバー
  • 視察状況:①重要作戦訓練基地の施設と訓練場の諸要素を具体的に了解、②監視台に登り、実働訓練実施計画についての報告を受け、訓練を指導(訓練には、各級単位の戦闘区分隊が参加)、③戦闘員達と記念写真撮影、④小銃射撃訓練を間近で視察(写真のみ)
  • 金正恩言動:「軍人たちの訓練の姿に大きな満足を表示」、「我が軍隊が現時期、訓練熱風をより飛躍的に巻き起こすべき必要性について強調し、実際の戦争の場で勝利を確信できる実用的な実戦訓練を一層度合い強く繰り広げることに関する綱領的課題を提示」、「敵の恒常的な威嚇を圧倒的な力で牽制し、些細な戦争挑発企図も徹底的に制圧する・・ためには・・実戦訓練を絶えず強化しなければならないと述べ、全軍の各級が現情勢の要求に即して戦争準備強化の新しい全盛期を力強く切り開くことについて特別に強調」

 同記事には、訓練場を視察する金正恩の姿に加え、戦闘訓練を展開する軍人の姿など多数の写真が添付されている。それによると、この「訓練基地」は、山中に設けられた要塞のような建物とみられ、今次訓練では、それを用いて、ヘリコプターからの降下や室内戦も含めた攻防が展開されたとみられる。

 このほか添付写真の中で異彩を放ったのは、訓練風景や記念写真には写っていず、小銃射撃訓練実施時にだけ現れた黒色の制服・ヘルメットを着用した10余名の兵士である。この場面にだけ金正恩のボディーガードの親玉のような人物(金勇浩護衛局長?)も写っており、想像するに、彼らは、金正恩の護衛部隊ではないだろうか。

 いずれにせよ、金正恩の今次訓練場視察は、3月4日から実施されている米韓合同軍事演習への対抗措置とみられるが、訓練に対して訓練で応えるということで、この限りでは、4日付け国防相代弁人談話でも示唆されたとおりのバランスの取れた対応ぶりといえるのではないだろうか(5日付け本ブログ参照)。