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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月14日 金正恩の戦車兵大連合部隊間対抗訓練競技指導を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が3月13日、「戦車兵大連合部隊(機甲・機械化軍団、戦車師団等を指すと思われる))の間で行われた「対抗訓練競技」を指導したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行:朴正天秘書・軍事委副委員長
  • 迎接:強純男国防相、李英吉総参謀長、国防省装備担当副相、総参謀部戦車局長、戦車兵大連合部隊指揮官たち
  • 観覧:各級戦車、機械化部隊の指揮官たち
  • 訓練目的:「戦車兵たちの実戦能力を厳格に検閲し、相違なる戦術的任務に応じた戦闘行動方法に熟練させること」
  • 競技結果:「近衛ソウル柳京守第105戦車師団が圧倒的な実力で優勝」
  • 金正恩注目発言:「初めてその驚くべき戦闘的性能を誇示しながら姿を現した新型主力戦車が極めて優れた打撃力と機動力を立派に見せたことにも満足」、「戦車兵大連合部隊の将兵の献身と努力を再び高く評価し、高揚した闘争気勢を一層非常に高調させて戦争準備完成の飛躍的な成果につないでいくことに関する綱領的課題を示した」
  • 競技終了後の金正恩動向:「各戦車乗組を査閲後、自ら新型主力戦車に乗って操縦桿をしっかり握りしめて直接戦車を運転」、「105戦車師団の戦車兵たちと・・記念写真」

 金正恩の今次指導は、先の演習場視察、砲撃訓練視察に次ぐもので、これで、歩兵、砲兵、機甲の主力兵科をそれぞれ指導したことになる。いずれも、展開中の米韓合同軍事演習への対抗的狙いが込められていることはこれまでも指摘してきたところだが、これまでのところ、通常兵力の訓練に終始しており、抑制的な反応に止めているといえよう。各地住宅建設に加え、「地方発展20×10政策」推進のための124連隊編成などで軍事部門に余裕がなくなってきていることの反映とも考えられる。

 なお、韓国聯合通信の解説によると、ここで登場した「新型主力戦車」は、2020年10月の党創建75周年慶祝閲兵式に初登場したもので、今次は、その際にはなかった砲塔の反応装甲が追加されているという。