rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月11日 各地での地方工業工場建設着工式実施を報道

 

 本日の「労働新聞」は、「我が党の宿願実現のための10年革命に総邁進し地方発展の新転機を切り開こう」との見出しの下、「諸郡において『地方発展20×10政策』地方工業工場建設着工式相次いで実施」されたこと(日付けには言及なし)を報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同記事で着工式実施が紹介されたのは、球場郡、雲山郡、延誕郡、銀川郡、載黎郡、東信郡、ウシ郡、高山郡、利川郡、咸州郡、金野郡、金亨稷郡、長風郡の13郡であり、そこには、党秘書である趙勇元、李日換、朴正天、金在龍、全現哲、朴泰城らが出席したとされる。

 この結果、「地方発展20×10政策」に基づく地方工業工場の建設が開始されたのは、金正恩が出席した2月28日の成川郡及び3月7日に報道された亀城市、粛川郡、恩波郡、鏡城郡、魚郎郡、温泉郡の6市・郡とあわせて20となり、今年予定されたすべての市・郡での建設工事が開始されたことになる。

 こうして開始された全国各地での工場建設工事は、国家からの資材供給、軍部隊(124連隊)による労働力確保などの裏付けもあり、それなりに進捗するのであろう。来年の今頃には、各地で新設された地方工業工場の姿が、金正恩の人民愛が生んだ偉大な業績として、盛んに喧伝されることが予測される。

 しかし、より重要な問題は、金正恩が指摘したとおり、それら工場を完成後に円滑・継続的に運営していく上で必要な原材料供給基盤の確保やそこで働く技術者等の養成などを工場建設と並行してどれだけ実質的に進めることが出来るかであり、その成否は楽観を許さないと言わざるを得ないであろう。