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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年2月29日 平安南道成川郡地方工業工場建設着工式に金正恩が出席、演説を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩出席の下、標記工場の着工式が2月28日に実施されたことを伝える記事及びその際の金正恩の演説内容を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

ア 着工式概況

  • 金正恩以外の主な参席者:趙勇元組織秘書、李日煥、金在龍、全賢哲の各秘書)、李煕用第1副部長、平安南道党委・李景哲責任秘書。強純男国防相、鄭慶沢総政治局長と朝鮮人民軍大連合部隊長(このほか地方発展20×10非常設中央推進委員会のメンバー、省、中央機関の幹部、平安南道と成川郡の幹部、勤労者、建設に動員された人民軍軍人が参加)
  • 式次第:①国歌奏楽、②金正恩演説、③金正恩が「地方発展20×10政策」貫徹のため新設された朝鮮人民軍第124連隊(複数)に連隊旗授与、④着工記念くわ入れ、⑤初発破(金正恩がボタンを押す)、⑥金正恩が建設連隊軍事・政治指揮官と記念写真撮影

イ 金正恩演説の骨子

  • 「人民経済すべての部門を整備しその発展を図ると同時に首都はもちろん全国の農村で毎年、住宅建設を推進している我々が、その一つ一つに劣らぬもう一つの10年創造大戦を決断し、新たな戦線を展開することは、率直に言って言葉ほど容易なことではありません」が、「『地方発展20×10政策』』実現の勝算は既に確定しています」
  • 「市、郡の地方工業工場建設に必要な資金と労力、セメントと鋼材は国家において全部保障し、建設資材の輸送をはじめとした諸問題も適切に対策するようにしました」
  • 「まさに昨日、私は、今年20個の市、郡で建設する地方工業工場とその規模、敷地、生産工程が反映された総合報告書を検討し、批准しました」
  • 「問題は、・・地方工業工場の建設が実際にいかに進捗するか、そして、この工場が今後いかに実質的に運営されるかということです」
  • 「最も重要なことは、地方工業工場を変革する過程を郡内の幹部と人民の中で・・生活と文明を創造していくとの覚悟と自信感を育てる効果的な契機とすることです」
  • 「人民軍将兵たち! 人民の幸福を創造し、我が党の宿願を実現するための闘争の前衛において常に勇敢に戦え!」

 同着工式は、いうまでもなく、鳴り物入りで提唱された「地方発展20×10政策」の実際の開始を意味するものであるが、そこで注目されるのは、軍の存在である。ひな壇にも各軍団司令官らとみられる多数の軍人が立ち並び、また、金正恩演説においても、引用は省略したが、工事を担当する軍への激励・呼びかけが繰り返されている。

 一層印象的なのが「124連隊」である。各軍団などの傘下で「地方発展20×10政策」に基づく各地地方工業工場建設を担う専門部隊として、まさに20個の連隊がこのたび新たに編成されたものとみられる。ちなみに、「124」というのは、同政策が党第8期大19回政治局拡大会議において決定され、それに軍を動員する党中央軍事委員長命令が伝達された日付(1月24日)にちなんだものであろう。