rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年4月11日 金正恩金正日軍政大学現地指導を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が4月10日、金正日軍政大学を現地指導したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:朴正天中央軍事委副委員長(党秘書)、強純男国防相、李永吉総参謀長、黄炳瑞国防省総顧問と党中央委員会の重要幹部
  • 大学の沿革・位置づけ:「1973年3月7日(創設)・・我が軍隊の中核指揮メンバーを数多く育成」、「我が軍隊の最高級軍事・政治指揮官育成の母体基地」
  • 主な動向:①歓迎行事(学長迎接報告、花束贈呈など)、②「軍事講義室で行う学生たちの作戦戦術授業を参観」、③「教育方法研究および訓練室」視察、④「寝室と食堂」視察(寝室の暖房、食堂で「学生への後方供給実態を具体的に了解」、「自ら用意してきた各種食品で教職員、学生の夕食を調えてやった」)、⑤「作戦研究室」視察(「敵の主要作戦行動企図と敵軍に対する研究状況、教師、学生が作成した軍種、軍団作戦計画」を見る)、⑥教職員、学生らと記念写真撮影
  • 金正恩主要言動:「大学では・・高い統合作戦能力と実戦指揮能力を身に付けた有能な軍事幹部をより多く充実に育成しなければならない」、「敵の数的・軍事技術的優勢に思想と戦法の優勢をもって打ち勝つことは過去も現在も未来も変わらない戦勝の法則」、「今はいつよりも戦争の準備に一層徹底しなければならない時である、我々は単にありうる戦争ではなく必ず勝つべき戦争により確固と、完璧に準備されなければならない」

 金正日軍政大学の存在が明らかになったのは、2020年10月の閲兵式に登場したときであるが、今回の記事により、(おそらくは、その前身が)1973年3月7日に創設されたものであることが示された。

 その学生には、閲兵式の際も、また今次記事添付の写真でも、陸軍に加え海・空軍の軍服を着用している者が含まれており、3軍最高幹部養成のための一種の統合学校であると考えられる。同校が統合作戦能力の付与に重きを置いていることは、金正恩の発言にもうかがわれる。また、添付写真に写っている学生らしき軍人は、大佐ないし上佐の階級章を付けており、将軍一歩手前の軍人が教育対象になっていると考えられる。 

 なお、金正恩の動向に関しては、学生の生活環境への配慮ぶりを強調するのみならず、夕食用の食品まで持参したことが注目される。人心掌握にはまず胃袋から掴めということであろう。そこまでしないといけいない状況なのであろうか。