rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月13日 社説「主要工業部門から正面突破戦の火の手を強く起こそう」

 

 去る10日付け本ブログで「正面突破戦」についての総合的評価を試みた際、その闘争対象の一つとして、「国家運営とりわけ経済分野に内在する旧弊」をあげ、それには「執務姿勢などの精神的側面が多分に込められているとみられ(る)」との推測を述べたが、本社説は、そのような推測を裏付ける根拠を提供するものといえる。

 本論に入る前にまず「主要工業部門」とは具体的にいかなる産業部門を指すのかであるが、社説中に直接的な答えは示されていない。ただし、類似の概念として、「経済を支えているいる金属工業、化学工業、電力工業をはじめとした基幹工業部門」と表現があり、当面、ここで例示された3部門がとりわけ重視されているとみられる。いずれにせよ、本社説は、個別の産業部門については言及せず、「主要工業部門」というひとくくりの概念を用いて、そこに求められる課題・問題点を論じている。

 すなわち、まず基本的取り組み姿勢に関し、「主要工業部門において前進発展を阻害している要因を根こそぎ除去」することを挙げ、具体的には、「主要工業部門に対する指導と管理を受け持つ国家経済機関と幹部達」に対して、「可能な生産潜在力を総発動する考えをせずに安易に輸入に頼る現象、現実とかけ離れた計画を作成し示達する現象、下部単位を強く掌握できない問題など過去に現れた弊害を至急正す」ことを、また「主要工業部門のすべての単位」に対して、「上から与えてくれることだけを待つのではなく、徹底して自力更生の原則で生産工程の現代化と原料、資材の国産化実現における懸案問題を漏れなく探し出し、その解決に力を集中し生産活性化の突破口を切り開く」ことを求めている。

 また、計画の策定に関しては、党の意図・要求に即することを求めると同時に、「闘争目標を現実性と合わない荒唐な形で立てるのではなく、自分の単位の生産潜在力と土台、科学技術力量などを綿密に打算したところに基づいて、それが実際に執行できるように樹立しなければならない」とも主張している。

 更に人材育成、科学技術活用などに関しては、「不足する原料も資材も科学技術の力で解決し、生産工程の主体化、現代化、経営移管里の情報化も自体の人材陣営をしっかりと整備し、彼らの役割を高めて実現」することを求めている。

 幹部の執務姿勢改善を求める中では、更に厳しい批判が加えられている。すなわち、「今日、経済建設において見るべき成果を収められないでいる主たる原因は、原料や資材、資金不足にあるのではなく、幹部の古い思想観点と働きぶりにある。他人に対する依存心と輸入病、敗北主義と虚偽主義、本位主義と特殊化、無能力と無責任性を根こそぎにしてこそ、経済建設が活力を持って前進することができる」というのである。

 結局のところ、それ以前に掲げられていた様々な課題、問題点も、すべて「幹部の古い思想観点と働きぶり」に集約されると言って過言ではないであろう。その意識改革こそが「正面突破戦」最大の狙いであり、主戦場であると考える。