rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月14日 北朝鮮で、冬休みの宿題を廃止

 

 本日の「労働新聞」は、「未来の主人公たちよ! より明るく笑え、美しい夢を思い切り咲かせよ  冬期休暇を楽しく送る青少年学生たち」との共通題目の下、いくつかの記事を掲載しているが、その主題は、このたび冬休みの宿題を廃止し、それに代えてサークル活動などを奨励していることにある。

 すなわち、「新たな措置と生活力(「有効性」の意味)」と題する評論によると、「このたび、党の恩情により、教育部部門においては、過去のような学生たちに休暇期間に一律的に与えていた宿題をなくし、学生みなが楽しい休暇期間を自分の素質と才能に即して課外教育を心行くまで受けることができるようにし、冬休み期間も伸ばす措置を取った」という。ここで、「党」とは金正恩を指すと考えられる。

 評論は、このような措置を取った理由として、「教育学的見地から見るときも、精神肉体的に旺盛な成長期にある青少年学生たちを休暇宿題という心理的負担に縛られることなく、彼らが自分の選択したサークルにおいて学びたいことを学べるようにするとか、修学旅行に行くとかするならば、健全な成長に非常に良い。これは、自分の個性と潜在力を心行くまで発揮するようにし、将来誰でも自分の才能によって祖国の富強発展に貢献できる人材として育つようにする極めて重要な事業である」と主張している。

 また、「素質と才能を積極的に発揚させるように」と題する教育委員会(文部省に相当)幹部へのインタビュー記事の中では、同委員会局長が、「学生と児童たちの天性と素質を積極的に発揚させ、創造性人材として育つことができるような基礎をしっかりと養ってやる」ために「知能開発教育が持つ重要性」を強調し、「(同委員会において)初等及び中等教育段階において知能開発教育を強化し、多方面的な才能を育てるための教育課程として課外サークルを活性化するための対策を協議した」ことを明らかにしている。

 そして、同紙には、各地の教育施設や学校などでサークル活動を行う子供たちの様子が写真なども添えて紹介されている。

 要するに、画一的な詰め込み教育を排して、個性重視、自発性重視のサークル活動などを活発化し、創造型人材の育成を図ろうという方針の具現化が図られていることをアピールする記事といえる。

 このような動きは、「正面突破戦」の一つの柱として、科学技術、教育、保健部門における抜本的な改善が掲げられたことを受けてのものと考えられる。ただし、宿題をなくすことは一片の指令で可能であろうが、各地での多様なサークル活動などを充実した形で実施するためには、それを適切に指導し得る力量を備えた人材が大量に必要であり、それは一朝一夕に準備できるものではない。上掲評論においても、このような方針を具現していくための教員の質の強化などが課題として指摘されている。新たな方針が内実を伴った形で推進できるか注目される。