rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月10日 記事「核心的役割を果たす人材育成の秘訣 独特の秀才教育と工学教育」

 

 標記記事は、「国の科学技術人材養成と科学技術発展において先駆者の栄誉を轟かせよう 敬愛する最高領導者同志の現地お言葉を奉じ、科学教育事業に転換を起こしている金策工業総合大学において」との共通タイトルの下に掲載された、同大学の活動を紹介する記事の一つである。

 なお、これら一連の記事が今日掲載されたのは、昨年3月10日に行われた最高人民会議代議員選挙に際し、金正恩が同大学の投票場において投票し、同大学での科学技術教育の振興に関する「お言葉」を述べたことにちなんだものである。

 同記事は、同大学において、「(将来)専攻分野において核心的役割をにないうる科学技術人材として育てる」ために行っている、独特の「秀才教育」の方法を具体的に紹介している。

 それは、「学部別に秀才班(クラス)を運営すると同時に、実力が抜き出た学生たちを大学的な工学秀才班に網羅し、課程案を別途に立て執行」するというものである。学部ごとに優秀な学生の特別クラスを編成した上で、さらに全学的に優秀な学生を選抜したクラスを編成するという、いわば2段階の選抜を行っているというのである。

 同記事は、その上で、後者に対する教育方法を紹介している。すなわち、「工学秀才班に網羅した学生に対する講義と実験実習指導は有能な教員、研究士たちが受け持ち」、更に、「工学秀才班学生たちを科学研究事業に積極的に引き入れ、実践能力を高めている」という。英才教育を行うだけでなく、研究活動にも早期に参加させるというのである。

 金策工業大学は、北朝鮮の工学系教育の最高峰とされるから、学生にせよ教員にせよ、全国的水準で言えば、エリート集団と推測されるが、その中で更に、学生のみならず教員についても以上のような選抜をかけて、いわば超エリート集団を形成し、先端的役割を担う人材の育成に努めているということが分かる。

 北朝鮮の科学技術については、国の経済水準全体から推し量って軽視できない理由がこういうところにあるのではないだろうか。