rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

1月15日 各道(直轄市)で党委員会全員会議拡大会議を一斉に開催

 

 本日の労働新聞は、「党組織の役割を非常に高め正面突破戦を力強く推動しよう」と題して、1月13日及び14日に、「党中央委員会12月全員会議の課題貫徹のため」に標記会議が開催されたことを報じた。

 これら会議では、「党の思想貫徹戦、党政策擁護戦(党の指示実行の意味)において党組織が戦闘的機能と役割を高められないでいる欠陥が深刻に分析総括された」後、当面の取組み課題が決定されたという。

 前者の「総括」において指摘されたという内容を列挙すると次のとおりである。

・「道内の経済事業が不振状態にあるが、正しい経済発展戦略と打算なしに旧態依然として事業したこと」

・「地方工業発展のための正しい戦略がないために生産を正常化できず、浪費現象がなくならず、農業部門において営農計画と天気予報を通知し、技術伝習や画像会議を招集することをもって事業に代えていた(それ以上の指導をしなかった)」

・「科学・教育・保健部門において社会主義制度の印象を汚す現象、増産節約と質向上運動・・・と生態環境を保護し自然災害を防止するための事業を正しくできないでいる現象」

 要するに、中央委員会会議で提示されたほとんどの課題について、これまでの取組みはまったく不充分でしたと全面反省した形となっている。印象論であるが、どうも「深刻な分析総括」というよりは、大勢順応でここは誤っておいた方がむしろ無難、みんなで渡れば怖くないという感じでの指摘のようにもみえる。これもまた一種の形式主義、保身主義であり、果たして、このような総括を通じて実質的な改善がもたらされるのか疑問を呈さざるを得ない。

 次に、決定された今後の取り組み課題であるが、当然ではあるが、ほとんど中央委員会決定の焼き直しであるので、概況は省略し、経済運営に関する次の2点だけ紹介したい。

・「生産と建設にブレーキを掛け、事業能率を低下させる要素を漏れなく探し出して正し、経済事業において科学的な収支と執行担保が確実な拘束力のある計画を樹立して示達し、計画遂行状況に対する総括を厳格に行わなければならない」

・「国家の利益と人民の利便を共に保障することができるよう商業奉仕事業を改善するための方法論を研究対策し、現実的条件に合う経済管理、企業経営方法を適用し、工場・企業所の生産を活性化し、社会主義企業責任管理制が実際に効果を発揮するようにしなければならない」

 前者(とりわけ、その後段)は、指令型計画経済システムの強化を志向している印象がある一方、後者は、「社会主義企業責任管理制」への言及をはじめ改革志向的な印象を受ける。「商業奉仕事業」についても、中央委員会会議においては、「国営商業網」の整備を目指すとされていたことが、ここでは、その趣旨が曖昧になっており、取り組みも「方法論を研究対策」とやや間接的な表現が用いられている。今後、経済運営の実態がどのような方向に変化するのか、あるいはしないのか、注目に値する論点といえよう。