2月23日 論説「人民の信頼は幹部にとって最も貴重な財産」
標題は、「幹部」となっているが、実際は、「党」にとって人民からの信頼、支持がいかに重要であるかを説いた論説である。
論説は、まず、「今日の正面突破戦において、我が党の深い支持点、最強の宝剣は、いかなる現代的兵器や物質的富ではなく、まさに人民の絶対的な信頼と支持である」として、「人民の信頼、支持」の重要性を強調する。
その上で、「党に対する人民の絶対的な信頼心は自ずと生じるものではなく、固定不変のものでもない。それは、党の人民的な政治が徹底して具現されるとき、革命の指揮メンバーである幹部が人民のために滅私服務するとき、固く守られ、革命と建設において奇跡を生む力として爆発することになる」として、幹部の姿勢こそが「人民の信頼、支持」獲得の前提であると主張している。
以上の主張を換言すると、幹部の不正腐敗や無責任・消極的な執務姿勢などは、当該幹部個人の信頼を損なうのみならず、党すなわち体制に対する人民の信頼・支持の動揺をもたらすということになろう。幹部の不正腐敗行為などに対して、「我々の一心団結を蝕む」との批判が浴びせられるのも、同様の論理によるものと考えられる。
一方、もう一つの前提とされる「党の人民的政治の具現」とは、結局のところ、人民生活の向上、すなわち、食料をはじめとする日常必需品の質・量両面での円滑な供給や教育、保健などの分野の充実を意味すると考えられる(ちなみに、本日23日の社説は保健分野の充実を訴えるもの)。それらは、まさに「正面突破戦」の掲げる目標でもある。しかし、論説では、その成功のための「万能の宝剣」が「人民の信頼、支持」であるとしている。何か循環論法のような印象もあるが、しいて解釈すれば、そこで起爆剤的役割を果たすのが幹部の頑張り(滅私服務の姿勢)で、それによって、両者をスパイラル的に増進させることができるということになるのであろうか。
いずれにせよ、直前に掲載の本ブログ記事の内容ともあわせて、北朝鮮において、幹部が果たすべきと期待される責務・役割は、非常に大きく、過大なものとさえ感じられる。今後、彼らがそのような「期待」にいかに応えるのかが注目される。