rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月14日 最高人民会議での代議員討論の概要

 

 13日の「労働新聞」には、標記会議における第4、第5議題すなわち2019年度国家予算決算と2020年度国家予算及び内閣事業報告に関し、以下の11の「討論」が掲載されていた。各討論の題目と発言代議員名(音訳)及びその所属単位・役職(推定。報道は発言者氏名のみ)は、次のとおりである。

 これらは、北朝鮮指導部が重視している分野・問題、推奨したい取組みなどを如実に反映したものといえよう。

・「鉄鋼材生産において飛躍を起こすことで今年を金属工業部門が決起する年にする」金忠傑(金属工業相)

・「我々の保健を最も人民的で先進的な保健へと輝かせるための闘争に自身のすべてをみな捧げる」呉春福(保健相)

・「先進技術を積極的に取り入れ効率高い発電設備と対象設備を円満に生産保障する」崔勝竜(大安重機械連合企業所)

・「新たな化学工業を創設し生産工程を技術改造し必要な原料、資材を充分に保障する」張吉竜(化学工業相)

・「人民に対する滅私服務精神を帯びて市内の経済事業と人民生活を一段階向上させる」車熙林(平壌市人民委員会委員長)

・「我が国の気候と土壌学的特性に合わせ種子改良速度をさらに高め、農業発展を先導していく」金光玉(農業研究院)

・「正面突破戦の主要戦区により多くの石炭を送る」崔英日(順川地区青年炭鉱連合企業所)

・「原料、資材の国産化を実現し、製品の質を高め人民が好んで選ぶ履物をより多く生産する」張勝浩(元山靴工場)

・「道内の電力系統を電気節約型に構成し、電力供給の安全性を保障する」愈敬学(咸鏡南道送配電部)

・「輸送組織と指揮を行い人民経済の輸送需要を円満に保障する」柳元成(平壌鉄道局)

・「郡の特性を活かして地方工業を発展させ、人民の物質的文化生活を向上させる」李金玉(勝湖郡)

 こうして列挙してみると、「〇〇の供給を(円満に)保障する」といったたぐいの表現が多い。やはりすべての供給不足が経済の根本的問題として存在するのであろう。

 最後に指摘しておきたいのは、国家計画委員会関係からの「討論」がなされていないことで、昨日のブログで指摘したように、内閣の計画機能の強化が重要課題となっている中で、それがなされないのは、政府事業報告で関連の言及があったのでそれでよいということかもしれないが、やや寂しい感がある。