rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

8月3日 評論「全群衆的により活発に」

 

 標記評論は、「8月3日人民消費品生産運動の優越性と威力をより高く発揚させよう」との共通題目の下、他の数件の関連記事とともに掲載されたものである。

 このような報道は、「(金正日が)1984年8月3日、平壌で開催された全国軽工業製品展示会場に出向き、副産物などを利用して生活必需品を多く作るように指示したことを記念して、再活用品を『8月3日人民消費品』と名付けた」(聯合通信ホームページ事項索引より)ことにちなむものである。

 評論は、この時の金正日の指示について更に敷衍して、「日常雑貨を専門工場だけでなく、人民経済諸分野において生産しなければならないとされつつ、金属工場、機械工場をはじめとした諸部門の工場、企業所において生活必需品を生産する職場や作業班をしっかり組織し、工場から出る副産物と排泄物で各種日用雑貨を生産し、街頭人民班にも家内作業班を組織し日用雑貨を生産すること」を指示したとしている。

 その上で、同「消費品」の生産を一層活発化するたの今日的課題として、「何よりも、8月3日人民消費品にすべての部門、すべての単位が主人らしく奮い立つこと」「次に、製品の質を高い水準において保障すること」をあげ、「工場、企業所、街頭人民班にとどまらず、すべての部門と単位の広範なん群衆が奮い立って、質の良い消費品をより多く生産」することを訴えている。

 また、他の関連記事は、「可能性も予備も近くにある」「質保証を第一にして」などの題目の下、同「消費品」生産の各地での取り組みの実例を紹介するものである。

 これら一連の記事からは、北朝鮮指導部が、最近の「人民生活重視」姿勢の下、より多様で良質な生活必需品の供給に努めていることがうかがわれる。ただし、一方で、その供給については、国家の管理下にある資源の投入によってではなく、地方や個別企業さらには人民大衆の自助努力による「予備」の発見・活用に大きく依存していることを示すものでもある。そのような意味で、経済運営において生産財生産・重工業部門を重視する北朝鮮の基本姿勢に基本的な変化はないともいえよう。