rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月7日 「滅私服務」

 

 このところの「労働新聞」は、「輝かしい時代語」との共通題目の下、日々、様々な用語を解説する記事を掲載しており、標記も、その一つである。その趣旨は、金正恩によって打ち出された同用語が、金日成金正日の思想を継承したものであるということであろう。

 まず、金日成については、「機会があるごとに幹部は人民に号令し、人民の上に君臨する官僚になるのではなく、人民のために服務する人民の真の忠僕、誠実な使い走りにならなければならないとおっしゃり、その偉大な模範を示して下さった」とされる。

 また、金正日も、その志を継いで、「人民軍隊には『祖国のため服務する!』とのスローガンがあるのだから、我々の幹部のスローガンは『人民のため服務する!』にならなければならないとおっしゃって、その先頭に立たれた」という。

 そして、金正恩が2015年10月10日、党創建70周年慶祝閲兵式・平壌市群衆パレードにおける演説「人民大衆に対する滅私服務は朝鮮労働党の存在方式であり不敗の力の源泉である」の中で、「すべての党員同志達に訴えます。我々皆が偉大な人民のため滅私服務していきましょう」と述べて、この用語を打ち出したという。

 換言すると、それだけ長年にわたって独裁的な最高指導者が強調し続けてきても、なお払しょくできないほど、幹部の官僚主義の根は深いということであろう。