rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月20日 「首都平壌が滅私服務戦の先頭に」

 

 本日の「労働新聞」も昨日に続き、平壌総合病院建設の意義の宣伝のため、「人民を第一として愛する我が党の崇高な志を忠誠で奉じていく非常な熱意 平壌総合病院建設着工式でされた敬愛なる最高司令官同志の演説に接した幹部たちの激情の声」との共通タイトルの下、5件の投稿記事を掲載している。

 標記は、その冒頭に掲げられた記事で、筆者は、平壌市党委員長・金英喚(人名音訳、以下同)であり、同演説を受けた同市党委員会の取組みとして「まず(平壌総合病院建設を決定した金正恩の)崇高な意図と人民に対する極度の愛について、党員と勤労者に深く植え付けることに政治事業の火力を集中する」ことをあげている。建設そのものを支援することよりも、その意義を宣伝することをより重要視しているのが注目される。

 これに続く記事とその筆者は、「先鋒においてはためく赤い旗になる」金日成金正日主義青年同盟中央委委員会委員長・朴哲民、「第一歩を飛躍的発展の土台として」保健相・呉春福、「党の決心はすなわち我々の実践」金属工業省副相・梁浩、「より多くのセメントを平壌へ」順川セメント連合企業所支配人・李相川、である。青年同盟は建設労働者の面で、保健省は設備面で、金属工業省(=鋼材)とセメント連合企業所は主要建材の面で、それぞれ今後の総合病院建設に重要な役割を果たすことが期待されているのであろう。

 また、これら投稿記事の前書き部分では、同病院建設の対外的狙いについて、「遠からず世界は敵対勢力どもの汚い孤立圧殺策動を笑いで粉砕し、首都平壌の中心に人民愛の大記念碑としてそびえたつこととなる平壌総合病院を通じて、ただ社会主義朝鮮にのみ存在する偉大な混然一体、一心団結の威力を実感することになるであろう」と述べている。

 このうちの「汚い孤立圧殺策動を笑いで粉砕」という表現は、金正恩の着工式での演説での「敵対勢力どもの汚い制裁と封鎖を笑いで粉砕」との表現を受けたものであろう。今後、この表現がスローガン的に用いられることになるのかもしれない。ちなみに、制裁に「汚い」という形容詞が付されるのは珍しいのではないだろうか。また「笑いで粉砕」というのも、いかにも余裕を誇示しようとの思惑が感じられる。

 いずれにせよ、これら表現からは、平壌総合病院の建設決定が、国内的な「人民大衆第一主義」のアピールに加えて、対外的な制裁の「無効」のアピールという狙いによるものであることが改めてうかがわれる。