rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月8日 論説「大衆と現実は先生である」

 

 このところの「人民大衆第一主義」に関連する幹部向けの訴えが続くが、標記論説もその一つといえる。

 冒頭に金正恩の次の言葉を掲げている。

 「幹部は、人民を先生とみなして、人の力と知恵を動員すれば出来ないことはないとの正しい観点を持って、人民の中に入っていかなければなりません。」

 また、それを敷衍して、「人民大衆は、最も知恵ある存在である。現実をよく知っているのも人民であり、最も博識であるのも人民」であり、「人民大衆と現実の中に入っていくことは、幹部の本分であり義務である」と主張する。

 その上で、「人民大衆の中に入っていく」ための方法論として、「机の前に座って文書ごっこでもして、電話でもして(というやり方)では、実態をそのままに知ることはできない」と戒め、「人民の心の中に入っていく」ことが必要であると強調する。更に追い打ちをかけるように、「作業服を着て、現場にいるからといって大衆と交われるのではなく、資材を解決してやり呼びかけをしたからといって彼らの闘争熱意が高まるのではない」「現実逃避、現実無視から出てくるものといえば、主観主義、形式主義のほかにない」などの批判を繰り返している。

 論説は、このように否定的な活動方法についてはもろもろのスタイルをあげて批判する一方、「人民の心の中に入っていく」ための具体的な方法などについては、ほとんど語っていない。それは、「言うは易し行うは難し」の目標であり、便法は容易に示しがたいものなのであろう。