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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月30日 論説「幹部の役割を高めることは、正面突破戦勝利のための重要な担保」

 

 標記論説は、金正恩が2015年5月29日、「不朽の古典的労作」である「最後の勝利のための総攻撃戦で幹部の役割を決定的に高めるために」を発表して5周年を迎えたことにちなむものとされており、おそらくその「労作」に準拠して、幹部に求められる姿勢を論じたものである。

 まず求めるのは、「白頭の革命精神、白頭の剣風精神を心臓に刻むこと」である。では「白頭の革命精神」とは何かと言えば、「領導者だけを固く信じ従う絶対的な忠実性、無から有を創造していく自力自彊の闘争気風、百回倒れても百回起き上がり最後まで戦う不屈の気象」などのようである。

 次に求めるのは、「幹部が野戦型の指揮メンバーになる」ことである。それが意味するのは、「特に幹部が人々の心臓に火をともすことができる政治事業のやり手、戦闘現場で隊伍を導く熟練した組織家になること」であり、換言すると、「大衆の力と知恵を発動し、周到精密な作戦と科学的な打算、奇抜な着想により、(所属する)単位発展を推進する」ことである。

 最後に求められるのは、「高い人民性を帯びた、人民のため滅私服務する」姿勢である。具体的に言えば、「人民を自分の親族のように大切に思い、面倒を見て、人民の隘路と苦衷をその都度把握し、責任を持って解決してやる」ことである。なお、このような要求は、幹部のそのような姿勢が党ないし体制に対する人民の支持に直結するものとの認識に基づく。すなわち、「すべての幹部が人民のため滅私服務することを革命的党風をとするとの党の崇高な志を心臓に刻んで奮発しまた奮発するとき、全国に労働党万歳の声、社会主義万歳の声が高く轟きわたる」という。

 金正恩の前述「労作」がどのような機会に、どのような形で示されたものなのか、その全文が公表されているのか否かなど、恥ずかしながら現時点で確認できないのだが、いずれにせよ、彼が望む幹部の資質・働きぶりなどをまとめて示したものとして、注目されるべき「労作」といえよう。