rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

5月24日 論説「人民大衆中心の我々式社会主義の優越性と威力」(5月25日記)

 

 標記論説は、金日成が1990年5月24日、最高人民会議第9期第1回会議において行った施政演説にちなむもので、同演説を「我々式社会主義の優越性をより高く発揚する上で提起される理論実践的問題を全面的に明らかにした綱領的労作」と意義付け、そこから「我が社会の基本特徴は、人民大衆が社会の真正なる主人となっており、社会のすべてのものが人民大衆のために服務する真の人民の社会であるというところにあります」との言葉を引用する。

 その上で、「我々式社会主義の優越性と威力」が今日、いかに発揚されているかについて、①「党と国家が人民の運命を全面的に責任を負って暖かく面倒見ること」、②「自力富強、自力繁栄の不変針路にそって粘り強く前進していること」、③「党と大衆が混然一体を成していること」の3点をあげている。

 このうち、①の根拠としては、新型コロナウイルスの蔓延が世界的に進んでいる中でも北朝鮮においてはそれを防止していること、②の根拠としては、先般の順川リン肥料工場の完工などを取り上げている。また、③については、「敵どもの反社会主義的策動の究極的目的は党に対する人民の信頼心を喪失させようとするところにある」との認識を示し、それにもかかわらず、北朝鮮国内では団結が守られていると主張している。

 論説が掲げる①~③が「事実」であるとしても、それは、必ずしも「人民大衆が社会の真正なる主人となって」いることを示すものではない。その根拠を示し得ないことが、実は、「我々式社会主義」の脆弱点になっているのではないだろうか。