rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月14日 評論「品質認証体系を拡大導入する上で提起される重要な要求」

 

 本日の「労働新聞」には、標記評論をはじめとして、生産における「質」の向上のための取り組みを紹介する記事が数件掲載されているので、それらを紹介したい。

 このうち、標記評論は、品質認証を国際的状況から論じたものである。まず、世界の趨勢について、「今、多くの国が国際規格化機構が制定した品質管理及び保証に関する規格を自国の規格として制定しており、企業体は、それに基づいた科学的な品質管理体系を立てている。品質管理が国際的な性格を帯びて行われることで、過去の品質検査による質保証は、品質認証(製品認証と管理体系認証)へと転換された。それに伴って、品質認証を受けた製品は販売と輸出において有利な条件を持つが、品質認証を受けられない製品は販売と輸出をまともに行うことができなくなった」と紹介した上で、「今、我が国でもこの事業が活発に繰り広げられ、品質認証を受けた生産単位が引き続き増加している」として、「品質認証体系の拡大導入」を進める上での課題を提示している。

 そこで最初に掲げられるのは、「幹部と勤労者の観点と仕事ぶりにおいて革命的転換を起こすこと」である。「革命的転換」というからには、抜本的な変化が必要ということであろうか。いずれにせよ、この取り組みは、最高指導者の現地指導を受けたことがある「領導業績単位」が先頭になって推進されている模様で、「最近3年間だけでも・・数十個の領導業績単位」において、「製品の質向上のための事業において顕著な前進」を成し遂げたとされる。このほかの課題としては、「科学技術に徹底して依拠して品質認証体系の導入事業を行うこと」及び「従い追い越す、従い学ぶ、経験交換運動を活発に展開すること」があげられている。

 次に、「数十個単位が品質認証、、2月2日製品登録証を受けた」と題する記事は、「品質監督局から送られてきた資料によると、今年上半期期間、軽工業、電子工業、保健をはじめとした諸部門の40余個の単位において100個近くの生産工程に対する品質管理体系認証と食品安全管理体系認証、製品認証、GMP認証を受けた。また、30個近い単位において生産している百数十点の製品が2月2日製品として登録された」ことを伝え、各生産単位の具体的取り組みなどを紹介している。

 「単位発展の死活的な問題として提起するとき」と題する記事は、「船橋食料工場において製品の質向上事業に力を注ぎ、成果を収めている。今年に入って、パン、麺など5個生産工程に対する食品安全管理体系認証を受け、3点の製品が2月2日製品として登録された」ことを紹介し、「(そのような)成果をあげた秘訣」として、次の2点を指摘している。

 第一は、「生産者大衆が品質認証体系に対する正しい観点を持って、その導入に積極的に参加するようにするための事業を方法論をもって展開したこと」であり、第二は、「品質人相体系導入に必要な設備を自単位の実情に合わせて備置することを経営戦略として定め、頑強に(粘り強くの意か)実践したこと」である。

 このほか、「質的担保のための方法論を不断に探究して」と題する記事は、「地方工業工場において醤油、味噌を美味しく作って供給すること」に努めた実例を紹介している。

 以上のような記事を通じて注目されるのは、①「質」向上の取組みが国際的な潮流を視野に入れつつ、それを反映した形で推進されていること、②そのような取り組みが基幹産業を担う大規模な国営企業だけでなく、食料生産などを担当する地方の小規模工場などでも着実に進められている、③ただし、幹部。勤労者らの「質」の問題に関する認識・作業方法などは、国際基準を満たすには概して相当な懸隔があることなどである。このうち、①は、北朝鮮の「自力更生」路線が必ずしも国際的趨勢を無視したものではないことを、また、②は、北朝鮮の食糧事情が「量の確保」ではなく「質の向上」に重点を置く状況に至っていることを、③は、「質」の面での国際水準実現ためには、関係者の発想の抜本的改革を促す必要があり、そのためには最高指導者の直接指示などの強いインパクトが有用であることを、それぞれ示唆するものと考えることができよう。