rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月22日 論説「革命陣地、階級陣地をしっかりと固めるための必須的要求」

 

 標記論説は、「一時も遅らせることができず、一瞬間も疎かにできないのが反帝階級教養である」との副題の下、掲載されたもので、まさに、その理由を解説したものといえる。

 まず、「階級意識は固定不変なものではない。試練を勝ち抜いた人民であるといっても、信念教養、階級教養の度数を高めなければ階級意識が弱化することがありえ、世代を継いで固めてきた革命陣地、階級陣地を守ることができなくなる」とした上で、「階級教養強化」の意義として、次に2点をあげている。

 第一は、「すべての人民を階級闘争の前衛戦士として育てるための重要な要求」であることである。その前提には、「今、我が人民の革命意識、階級意識を麻痺させるための敵どもの策動は、政治、経済、文化など社会生活のすべての領域において日に日に、より狡猾で悪辣に敢行されている」との現状認識がある。それに対抗するためには、「階級意識は絶え間ない教養の中で培養され強固化される」必要があるということであろう。

 第二は、「革命のバトン、階級の代をしっかりとつないでいくための根本担保」であることである。何故、それが重要かと言えば、「代を継いで継続される長期的な革命闘争において、新世代を階級的に覚醒させ、鍛錬していくことは、社会主義偉業の前途と関連した死活的な問題である」からである。その根拠として強調するのは、「人の血は遺伝されるが、階級意識は絶対に遺伝されない」ことである。そして、北朝鮮でも、(「解放」後75年、朝鮮戦争停戦後67年が経過し)「搾取と圧迫を受けたことがなく、戦争の厳しい試練も経たことのない代が革命の主力軍として登場している今日の現実」において、その必要性は論じるまでもないということであろう。

 ここで示されていることの一つは、以上のような文脈において「新世代」という場合、決して青年層だけを指すのではないということである。以上のような考え方に基づくならば、60代以下、すなわち現役世代の大半が「新世代」に属することになる。まさに「死活的問題」とみなす所以であろう。

 もう一つ注目されるのは、「階級意識」について、容易に風化し侵食されやすい、非常に脆弱なものととらえていることである。上述の「培養」という言葉は、そのような発想を象徴しているように思える。そこからは、外気から遮断し絶え間なく保護していないと立ち枯れてしまう温室内の植物、「金日成花」が連想されると言うのは、言い過ぎであろうか。