rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

7月24日 社説「人民生活に責任を負う戸主としての役割をまっとうしよう」

 

 標記社説は、「現時期、我が幹部の前に提起された最も重要な任務は、人民の生活を安定向上させるための事業に、より大きな力を注ぐことである」とした上で、そのための重要課題などを列挙している。

 まず掲げられるのは、「(それに関連した最近の一連の)党会議決定に盛り込まれた我が党の崇高な志を骨に深く刻み込む」ことである。その結果求められるのは、具体的には、「(幹部は)人民の声に耳を傾け、提起される問題を無限の献身性を発揮して、責任を持って解決してやる真正な戸主、奉仕者にな(る)」ことである。ちなみに、「党決定に盛り込まれた我が党の崇高な志」といった表現からは、22日掲載論説における「党政策の精髄を正確に把握」の訴えと一脈通じるものがうかがえる。会議の決定を機械的・形式的に執行するのではなく、そこに盛り込まれた精神から学ばなければならない、ということであろう。

 同時に、「すべての部門、すべての単位において党的、国家的立場に徹底して立(つ)」ことが求められている。すなわち、「個別的単位と個人の利益のために国家の全般的利益、人民の利益を害する現象が絶対に現れないようにしなければならない」のであり、「自分の単位に死蔵されている資材、原料を必要な単位に移管し、互いに譲歩し助け合う」ことが求められている。

 最後に上げられているのは、「党組織の役割強化」である。党に対しては、「すべての幹部が人民と苦楽を共にしつつ難関を成果裡に克服していく」ことを求めるにとどまらず、「(コロナ感染症に対する)非常防疫規律に違反したり、人民生活に不安定を醸成したりする行為については、問題を厳格に立て、強い闘争を展開」することを求めている。このような表現は、依然として幹部の不正行為などが後を絶たず、それがむしろ人民生活の安定を阻害していることを示唆するものといえよう。

 昨日のブログでも指摘したとおり、このところまさに連日のように「人民生活重視」の訴えが続いている。その背景に何があるのか、鋭意かつ慎重に見極めていく必要があろう。