rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

9月11日 咸鏡南道での復旧作業本格化

 

  本日の「労働新聞」は、「熾烈な徹夜戦、果敢な立体戦で被害復旧を力強く推し進める」との共通題目の下、各地での台風被害復旧作業への取組みを紹介している。

 このうち、「首都党員師団」の活動に関しては、「別動隊の本態を誇示し、初戦闘から革新 第1首都党員師団にて」と題する記事が洪原郡及び利原郡に進出した各部隊の活動を紹介している。前者に関しては、「9日夕方、鉄道駅に到着した数百トンのセメント」の荷下ろしを行い「建設現場に迅速に輸送」したことや、現場付近に骨材(コンクリート用砂利のことか)場を確保し、「大型シャベル・カー、トラックが総動員、総集合」したことなどを報じている。ただし、報道写真に写っているのはシャベル・カー1両とダンプトラック3両だけで、平壌から輸送されてきたものか、地元にあったものをかき集めたのかは判然としない。

 このほかは、「不可能を知らない攻撃精神で 朝鮮人民軍朱明哲(音訳)所属部隊にて」と題する記事が「去る9日早朝5時、端川市に到着した(標記)部隊」の活動を伝えている。端川市は、剣徳地区と隣接しており、同部隊は、同地区復旧活動への人民軍動員を決めた8日の中央軍事委員会拡大会議の決定を受けて動員された軍部隊の一部とも考えられる。さすがに軍部隊は初動が速い。付近に駐屯していた部隊かもしれないが。なお、同記事中には「他の地域に派遣された朝鮮人民軍朱明哲所属部隊・・」との記述があり、同部隊は、他の地域も担当しているようである。

 また、「住宅建設成果引き続き拡大」と題する記事は、「社会安全省旅団」の活動を紹介している。同「旅団」が「首都党員師団」に所属するのか否かは不明である。

 一方、この共通題目の下には、咸鏡北道に派遣されたとみられる第2首都党員師団についての記事がなく、同師団は10日に至るも現地に到着していない可能性が高いと考えられる。平壌から同道の中心地・清津まで直線距離で約400㎞、鉄路だと最優先でも2日以上かかるのだろうか。台風被害などにより鉄道の運行自体が困難になっている可能性もあろう。

 このほか「党の訴えを奉じ、被害復旧に必要な資材を最優先的に保障しよう」との共通題目の下、各産業部門の取組みを報じる記事もいくつか掲載されている。復旧活動においては、実際には労働力よりも、資材供給が成否を分ける鍵になるのかもしれない。