rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月29日 「80日戦闘」関連記事まとめ(産業部門)

 

 標記については、昨日に続き本日も「国家経済発展5カ年戦略」目標の遂行を伝える記事が掲載された。「皆が党第8回大会に向けた総進軍で英雄的偉勲の創造者になろう」との共通題目の下で掲載された、「立派だ!時間を縮め偉勲を轟かす革新者たち! 紡績工業部門で750余名が5カ年戦略計画目標遂行」と題する記事で、「総合された資料によると、紡績工業部門において750余名が国家経済発展5カ年戦略遂行期間の生産目標を突破した」ことを報じている。同記事は、また、主な紡績企業所ごとの目標突破者数なども紹介している。ただし、企業単位あるいは職場単位での目標突破などに関する言及はなく、あくまでも個別の労働者の成果を示すものである。

 紡績部門全体にどれほどの労働者が従事しているのか不勉強で把握していないが、少なくとも万単位あるいは何十万であろう。その中で750余名というのは、1%にも満たない極めて例外的な存在ということになる。したがって、この記事は、紡績部門全体としては、5カ年戦略の目標をほとんど達成できていないことを物語るものともいえよう。

 なお、当該共通題目の下に掲載されたのは、この記事の外は、「自力富強の活路を切り開いて 平安北道で数十個の新説及び改築現代化工事を力強く推進」及び「最前線により多くの資材を送るための生産突撃戦の火の手 順川セメント連合企業所で数千トンのセメントを増産」と題する2件の記事であったが、いずれも「国家経済発展5カ年戦略」への言及はなく、また、「80日戦闘」における目標達成率などへの言及もない。

 昨日の本ブログでも指摘したところであるが、結局のところ、「戦闘」開始の当初8日間の実績報道にあったような部門全体としての目標達成といった成果(10月23日付け本ブログ参照)は、その後は実現できていないのではないだろうか。

 ちなみに、本日の「労働新聞」に掲載の論説は、「継続前進、連続攻撃は戦闘勝利のための最上の方略」と題して、「80日戦闘」への最大の尽力・奮闘を呼びかけるものであった。その中では、「今日の連続攻撃戦における最大の敵は、安逸弛緩と放心、緩慢性である。安逸弛緩と慢性感、敗北主義に捕らわれた人からは、後ずさりしか生まれない」と戒め、「皆が党の構想と意図を心情に深く刻み、哨所と職場ごとに天を衝く気勢と強勇な奮発力で奮闘し、また奮闘することによって貴重な成果を一つ一つ着実に収めていく」ことを求めている。

 このような主張を前述のような実績報道の内容と合わせて勘案すると、昨日のブログで指摘した、「80日戦闘」は開始から20日近くを経て、既に中だるみないし息切れの兆しが生じているのではないかとの推測が一層現実味を増してくるように思われる。