rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月20日 「金徳訓内閣総理が金剛山観光地区の開発事業を現地了解」

 

 本日の「労働新聞」に掲載の標記記事によると、金総理が高城港観光地区、海金剛海岸公園地区、体育文化地区などを視察し、同地区を「人民の文化情緒的要求を最高の水準で充足させるとの党の構想を金剛山観光地区総開発計画に正確に反映させ、執行する上で提起される実務的問題を討議」するとともに、「現代的で総合的な国際観光文化地区として立派に整備するための開発事業を年次別、段階別計画にしたがって進め」るとの方針を示し、「総開発計画案が作成されたことに即して、開発事業の先後を正しく定め、世界的水準のホテル、ゴルフ場、スキー場などの設計と施工において主体的建築思想と建設政策を正確に具現するための対策を討議」したという。

 この報道からうかがうに、金総理の今次視察は、同地区開発に関する基本方針(案)が金正恩の承認を得たことを踏まえて、自ら現地を視察し、同案を具体化した「総開発計画」の策定を促進するためのものであったと考えられる。したがって、今次視察は、同地区の開発事業の早期着工を意味するものではないとみるべきであろう。

 ただ、そうであるにしても、かつては国家的プロジェクトとして推進してきた元山カルマ海岸観光地区の開発事業が完工期限(今年4月15日)をはるかに超えても結束されず、また、白頭山革命戦跡地にかかわる三池渕市開発第三段階も途上にある中での、そして何よりも経済全般が苦境にある中での、新たな大規模観光開発計画の浮上には、率直に言って違和感を禁じ得ない。

 なお、韓国では、同視察報道を受けて、同地区の本格的開発に先立ち、そこに残された韓国側施設の撤去問題をめぐって北朝鮮が対韓交渉に乗り出すのではとの「夢」を膨らませているようだが、果たして韓国が期待するような方向に進むのかは不透明と言わざるを得ないであろう。むしろ、同報道の文面を読む限りでは、同地区開発における主体性・民族性の発揮が強調されており、北朝鮮は、独自の設計思想に基づく開発を念頭においているように感じられる。