rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月20日 随筆「党員協議会について」(12月21日記)

 

 標記随筆は、「人民大衆第一主義を党事業実践に徹底して具現していこう」との共通題目の下に掲載された記事の一つで、困難な条件の中でも成果を上げている南陽炭鉱の例をあげて、「党員協議会」の意義を強調するものである。

 すなわち、同炭鉱において、「最も困難な瞬間ごとに党員協議会を開いたのだが、それが大きな力を発揮した」との経験を紹介し、「結局、党員協議会は、醸成された難関を打開するための正しい方途を探し出し、その実現へと党員達を呼び起こす力強い組織動員過程となる」、「党員協議会こそが我が党員達においてなくてはならない必須的な会合、瞬間瞬間ごとに党員としての自覚を改めて刻み付け、自己の本分を尽くすよう奮発させる意義深い契機なのである」と結論付けている。

 ここで言う「党員協議会」とは、「細胞総会」などの定期的に開催される正式な(定式化された)会合とは異なり、前述のとおり必要に応じ随時に職場の党員を集めて開催される、半ば非公式的な会合なのであろう。推測であるが、出席者にある程度、自由な発言を求め、当面の課題克服の方策などを討議する場となっているのでないだろうか。そうであるとすれば、上意下達だけではなく、現場の知見などをくみ上げ、それを通じて一般党員の積極的参画を促す回路として、党組織を機能させていることになる。

 ちなみに、同随筆と同じ共通題目の下で掲載された「親人民的、親現実的に 各地党組織において」と題する評論は、「思想事業を行うにしても、機械式、行事式、注入式を決定的に根絶し、実情に即した、耳に入りやすくするための効果的な方法を広く探求して実施」することを求めている。このような主張も、前述のような党員協議会の運営方針と軌を一にするものといえよう。

 結局、前述の随筆・評論を総合すると(やや結論を急ぎすぎかもしれないが)、「人民大衆第一主義」のスローガンが、単に人民の生活・利便向上を重視すること(トップダウン)にとどまらず、人民の積極性・創造性などを引き出すこと(ボトムアップ)を重視するものとして位置付けられようとしていることがうかがえる。注目すべき動向といえないだろうか。