rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年1月29日 論説「国家的で計画的で科学的な自力更生」

 

 標記論説は、「朝鮮労働党第8回大会の文献と決定を深く学習しよう」とのサブタイトルを付して掲載されたものである。昨日の本ブログで紹介した「自力更生」の進め方について、更に敷衍したものであるので、重複する点もあるが、その骨子を紹介したい。

 論説は、冒頭、「自力更生は自存と自強の生命線であり、社会主義建設の強力な発展動力である」とした上で、それを国家的、計画的、科学的に推進すべきことを主張する。

 まず、「国家的」に関しては、「我々が言う自力更生は、決して各部門、各単位がそれぞれ自体で生きていく自力更生ではない」として、「当然、国家の統一的指導と戦略的管理の下に遂行される中央集権的な自力更生とならなければならない」と主張する。

 次に、「計画的」に関しては、「客観的条件と実現可能性、潜在力を具体的に打算した科学的な数字に基づき、その執行担保が確実で拘束力があり、遂行状況を正確に総括できるように建てられた計画」に基づいて進められるべきと主張している。また、前項と絡めて、「国家の統一的指導と戦略的管理の下に遂行される自力更生だけが計画的自力更生となりうる」とも述べている。

 「科学的」に関しては、「先進科学技術に依拠して、原料・資材の国産化再資源化を実現し、増産の槌音を高く轟かせる」ことを求めている。

 今日の北朝鮮の「自力更生」実現の基本戦略は、これらの目標を三位一体的に追求するところにあると考えられる。そして、その特徴を「計画・集権」か「市場・分権」といった二分法で考えれば、やはり前者の傾向が濃厚であることは明らかであろう。今次大会で策定されたのが、「5か年戦略」ではなく、「5カ年計画」であったことも、そのような傾向(従前との違い)を象徴しているともいえよう。