rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月6日 「再資源化」の実例

 

 新たな「5カ年計画」の「基本種子」とされる「自力更生」実現の重要な柱として「再資源化」(リサイクルの意であろう)が強調されている。

 本日の「労働新聞」に掲載された「依存心を捨ててこそ再資源化の成果を担保できる」と題する記事は、「9月紡績工場」におけるその実例を紹介している。

 同記事によると、同工場では、「昨年から原料保障条件が一層難しくなった」。そのため「輸入原料に依存する生産方式から大胆に抜け出ない限り、いつになっても生産を活性化することができないということは明白であった」という。

 そこで、「古布と破綿から紡績糸を生産する」ことが解決策として提起された。その検討過程では、輸入原料とそうした再生原料を配合する案も提起されたが、それでは問題を抜本的に解決することにならないとして、技術的には困難であるが再生原料だけで生産を行う方策を追求することとした。

 そして、「技術者、技能工は、提起された技術的問題を解決するため献身し、数十回の試験の後に古布打綿機をとうとう自力で製作し遂げた。・・結果、工場では、古布と破綿による紡績糸生産工程を確立することとなった」という。

 こうした方法で、従前の輸入量に相当するだけの原料(紡績糸)を確保できるのか、そもそも古布・破綿はどこから持ってくるのか、不可解な点は少なくないが、いずれにせよ、北朝鮮が今進めている「自力更生」とは、主にこうしたことの積み重ねなのであろう。

 理想論を言えば、「国家的な自力更生」を標榜しているのであるから、国産材料で紡績糸を本格的に生産できるような生産工程の確立を進めるべきと思うが、それができるまでの間、前述のような個別企業内部のリサイクルなどで耐え忍ぶということであろうか。