rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年4月15日 金日成誕生110周年

 

 本日の「労働新聞」は、金日成誕生110周年記念日を迎えて、冒頭に「偉大な首領様の恩徳、人民は千万年伝えるであろう」と題する評論(なぜ、社説でないのかは不明だが)を掲げたのをはじめとして金日成に対する称賛・追慕の記事・写真などで満載である。

 その中には、軍事パレードの会場として注目されていた金日成広場周辺(対岸の主体思想塔周辺を含む「広い空間」)において、「偉大な金日成同志の誕生110周年慶祝照明祝典」が14日に開幕したことを報じる記事もある。同記事によると、そこでは「万景台故郷の家(金日成生家のこと)、革命の聖山白頭山、千里馬銅像、国家象徴などを造形芸術的に形成した装飾物」が展示されており、同祝典は、17日まで続くとのことである。要するにライトアップのことであろう。更に、聯合通信の記事によると、今日の夜には同地で舞踏会、花火大会なども予定されている由である。

 どうも予測されていた軍事パレードは今日はないらしい。来る4月25日が朝鮮人民軍創建90周年にあたるということなので、それに際して実施されるのではないだろうか。今日のところは、和やかな祝賀ムード盛り上げを基調になっているように見える。

 ただ、昨日の軍将官大量昇格人事を補うかのように、党中央軍事委員会の名義による「国防相李英吉同志に朝鮮人民軍次帥称号を授与することを決定する」との決定(4月14日付け)が掲載されている。昨日の将官昇格が軍事委員会委員長(金正恩)の「命令」とされたのに対し、これが軍事委員会の「決定」とされているのは、大将以下は軍事委員長の命令で、元帥、次帥は同委員会の決定で授与することになっているからと考えることも可能であろう(本当にそうした規則が存在するのか確認したわけではない)が、何故、同日付けの決定であるのに今次決定が遅れて公表されたのかは判然としない。ちなみに、今次決定は、金正恩の名前は一切でてこないし、昨日の命令にあった「党中央の領導にしたがって革命武力を最精鋭化するための栄えある闘争において自己の本分を尽くしていくことを固く信じつつ」といった期待の言葉も一切ない極めて簡略・事務的な文面となっている。