■

２０２２年６月２日　コロナ渦でも生産は順調？

　本日の「労働新聞」は、「5月計画を完遂した気勢で力強く前進　人民経済諸部門と単位において」と題する記事を掲載し、経済各部門の５月の経済計画遂行状況を報じる記事を掲載した。

　同記事で計画の「完遂」ないし「遂行」を明記された部門・単位を見ると、部門全体では、鉄道運輸部門が「５月輸送計画を完遂」、機械工業部門が「（５）月計画を完遂」とされ、また、企業所単位では、金策製鉄連合企業所が「銑鉄、鋼鉄、圧延鋼材生産計画を完遂」、２・８ビナロン連合企業所が「苛性ソーダと塩化ビニールをはじめとした化学製品生産計画を完遂」、順川セメント連合企業所と川内里セメント工場が「生産計画をたがえることなく遂行」、大安親善ガラス工場が「板ガラス生産計画を完遂」、「銀波鉱山、李原鉱山、始中鉱山など諸鉱山」が「鉱物生産計画を完遂」、金正淑平壌紡績工場、金正淑平壌製糸工場をはじめとした紡績、織物工業部門の諸単位」が「生産計画をずれることなく遂行」したとされ、各部門の有力企業所が名前を連ねている。

　毎月初頭における前月の計画遂行状況に関するこうした報道は、以前は恒例であったが、このところしばらく途絶えており、上述のような記事内容からは、５月の実績が、それ以前に比すると相対的に順調であったことがうかがえる。

　そうした推測が正しいとするなら、５月１２日に国内でのコロナ感染者発生が公表され、以後徹底した防疫態勢が敷かれてきたなかでも、経済建設活動は遅滞なく進めるとの金正恩方針が実現されたことを意味する。そうした非常事態ということが人々の緊張感を高め、生産の活性化につながったということであろうか。いずれにせよ、（本当にそうなら）驚異的な結果というべきであろう。まもなく開催予定の中央委員会全員会議でどのような発表がなされるのか。楽しみである。なお、本日の「労働新聞」は、「堅忍不抜の闘争で生産と建設をより力強く推し進めよう」と題する社説を掲載し。「防疫条件を徹底して順守する条件において生産と建設を組織遂行する強い規律と秩序を徹底して樹立」することを求めている。防疫と生産・建設の「二兎を追う」方針がここでもうかがわれる。

　ちなみに、感染状況に関する発表は、下表のとおりである。当初に比較すると抑制され、治療中の人数なども減少の傾向にあることは間違いなくが、他方、日々の新規発熱者数は１０万人から大きく減少せず、いわば高止まりともいえる。これは、人口比で考えると日本で言えば５０万人近くに相当する。かなり厳しい状態が続いているとみるべきであろう。

コロナ感染状況に関する国家非常防疫司令部の通報骨子
１４日以降の期間は前日１８時～当日１８時。死者を除く人数は「〇〇余名」と表記
期間	新規発熱者	死者	完治者	治療中	発熱者累計	死者累計
5月12日	18000				350000	6
5月13日	174440	21	81430		524440	27
5月14日	296180	15	252400	324550	820620	42
5月15日	392920	8	152600	564680	1213550	50
5月16日	269510	6	170460	663910	1483060	56
5月17日	232880	6	205630	691170	1715940	62
5月18日	262270	1	213280	740160	1978230	63
5月19日	263370	2	248720	754810	2241610	65
5月20日	219030	1	281350	692480	2460640	66
5月21日	186090	1	299180	579390	2646730	67
5月22日	167650	1	267630	479400	2814380	68
5月23日	134510	0	213680	400230	2948900	68
5月24日	115970	0	192870	323330	3064880	発表なし
5月25日	105500	0	157020	271810	3170380	発表なし
5月26日	100460	1	139180	233090	3270850	69
5月27日	88520	発表なし	118620	203000	3359380	発表なし
5月28日	89500	発表なし	106390	186110	3448880	発表なし
5月29日	100710	1	98290	188530	3549590	70
5月30日	96020	0	101610	182940	3645620	発表なし
5月31日	93180	発表なし	98350	177770	3738810	発表なし
6月1日	96610	発表なし	108990	165390	3835420	発表なし