rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年6月3日 評論「現時点において経済部門ではいかなる問題を重視しなければならないか」

 

 標記評論は、6月初頭という現時期における経済部門の主要課題として、①上半年計画を無条件に達成、②整備補強目標占領をおろそかにしない、③下半年の生産準備を予見性をもって推進、の3つを提示し、その実践に向けた幹部の奮闘を訴えるものである。

 このうち、①に関しては、特に「誰よりも金属、化学工業部門の幹部が奮発、また奮発して上半年計画遂行のための生産突撃戦を責任をもって導かなければならない」としている。これは、金属、化学部門が最重要部門であるというだけでなく、これまでの実績が必ずしも順調でないことの反映であろう。このほか「国家経済指導機関幹部の革新的な活躍が特に重要」として、国家的見地からの各部門・単位に対する指導調整を訴えている。

 また、②に関しては、「自らの部門と単位の物質技術的土台を整備補強する事業をいかに推進してきたか」を自問するよう訴えている。「おろそかにしてはならない」との目標提示の仕方から見ても、各生産現場では、①の生産目標達成が優先され、設備の増強はもとより補修さえもおろそかにされているのが実情なのであろう。

 最後の③に関しては、具体例として、電力工業部門を挙げ、「水力、火力発電所において貯水池に水を溜め、石炭を十分に確保し、発電設備の整備補修を実質的に行わなければならない」とし、当面の日々の課題に追われて、そうした課題を先送りすることを戒めている。

 厳しいコロナ防疫と並行しつつ、こうした課題実現を求められる幹部には同情を禁じ得ない。