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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年9月6日 国家災害防止事業総括会議を開催、金正恩が演説

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が9月4日、5日の両日、金正恩の指導の下、開催されたことを伝える記事を掲載した。同会議の概況は、次のとおりである。

  • 開催目的:「国の全般的な災害防止実態を点検し、危機対応能力を強化する上での決定的対策を講究」
  • 主な出席者:金正恩、金徳訓、趙勇元、朴正天
  • 金正恩「重要演説」の骨子:災害防止能力強化を「必ずすべての事業に先行させるべき重大革命課題」と位置づけ、「国家危機対応能力建設方向に関する党中央の構想を披歴」の上、「国家の災害防止能力を最短期間内に新たな高みに向上させるための具体的な課題と実行方途を闡明」(具体的な内容については報道なし)
  • その他:金徳訓総理が「資料報告を提起」のほか、「討論」実施(報告内容、討論参加者など言及なし)

 同会議に関する報道は、前述のとおり、いたって簡略であり、災害防止能力の向上に向け、大いに尽力していくという方針は示されたものの、具体的にどのような総括が行われたのか、どのような方針が示されたのかについては、ほとんど報じられていない。

 また、参加者についても、「党中央委員会、内閣、省、中央機関、社会安全機関、司法。検察部門の幹部、道級指導機関、市、郡、重要工場、企業所責任幹部」及び「国防省指揮成員」とされているだけで、担当部門も判然としない。

 そうしてみると、今次会議は、実務的な総括、方針説明というよりは、各単位の高位責任者を集めて、災害防止対策の重要性を再認識させ、それへの優先的な取り組みを督励するという、意思統一的な狙いによるものであったとも考えられる。

 当面は、今まさに接近しつつある大型台風への対応が喫緊の課題であろうが、会議自体としては、より長期的な態勢整備(の抜本的加速)を求めてのもののようにみえる。