rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月19日 大陸間弾道ミサイル発射訓練の実施を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記訓練が2月18日に実施されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 実施主体:「ミサイル総局が発射訓練を指導」、「大陸間弾道ミサイル運用部隊の中で・・第1赤旗英雄中隊が動員された」
  • 訓練経過:①2月18日明け方に「非常火力戦闘待機指示」下達、②午前8時、「党中央軍事委員会委員長命令書」(金正恩直筆署名入り)下達、③第1赤旗英雄中隊が「2月18日午後、平壌国際飛行場において「火星砲15」型を「最大射距離体制で高角発射」、④ミサイルは最大頂点高度5,768.5㎞まで上昇、距離989㎞を4,015秒(約67分)かけて飛行、朝鮮東海公海上の目標水域を正確に打撃、⑤講評で「優」を獲得、中央軍事委は「大陸間弾道ミサイル部隊の実戦能力を高く評価」
  • 訓練目的(命令書中に記載):「不意的な奇襲発射訓練を通じ、武器体系の信頼性を再確認及び検証するとともに共和国核武力の戦闘準備態勢を刻み付け、国家核抑制力の構成部分の正確な機動性、反応性、信頼性、効果性、戦闘性についての確信と担保を立証して見せる」
  • ミサイル部隊の戦闘態勢強化:中央軍事委は、「朝鮮半島地域に醸成された軍事的環境に備えるため、戦略的任務が与えられたすべてのミサイル部隊に強化された戦闘態勢を徹底して維持することについての指示を下達した」

 なお、日米当局は、18日、北朝鮮が同日午後5時22分ころ、平壌市内順安付近からミサイル1発を発射し、最高高度約5,700㎞、飛行距離約900㎞で北海道渡島沖(日本の排他的経済水域内)に着弾した旨発表していた。

 上記の報道と総合すると、第1赤旗中隊は、午前8時の命令書下達後、9時間以上たってようやくミサイルを発射したことになる。報道は、同発射が「不意的」なもの、すなわち実施部隊には事前通告せず、その「反応性」を確認するものであったことを強調しているが、結果的には、随分と時間を要することを露呈してしまっている。それにもかかわらず、敢えて命令書下達時間を明示したのは何故なのか、実は、我々の核戦力はそれほど怖いものではないのだから過剰に反応しないで下さいよ、というメッセージであったとしたら非常に興味深いが、それは考え過ぎであろうか。

 ちなみに、こうした報道と並行する形で、金予正が本日、また訳の分からない談話を発表したが、それについては、稿を改めて論じたい。