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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月15日 本年の穀物生産高推計

 

 韓国聯合通信の報道によると、韓国の農村振興庁は、15日、「2023年度北韓食糧作物生産量推定結果」を発表した。

 同記事の骨子によると、同推定は、「(北朝鮮の)気象条件、病虫害発生及び肥料需給状況、国内外研究機関の作況資料、衛星映像情報などを総合して分析」したものであり、本年の食糧作物の生産高は、482万トン(前年比31万トン増)であり、作物ごとの本年生産高及び対前年増減量(比率)は、次のとおりである。

  • 米:211万トン、4万トン(1.9%)増
  • トウモロコシ:170万トン、13万トン(8.3%)増
  • ジャガイモ・サツマイモ:58万トン、9万トン(18.4%)増
  • 大麦・小麦:22万トン、4万トン(22.2%)増
  • 豆:19万トン、1万トン(5.6%)増
  • その他雑穀:2万トン

 また、好調の原因としては、気象条件に恵まれたことをあげており、作物生育期間(5~9月)の平均気温は21度(前年比1.3度+)、降水量は886.1㎜(前年比180㎜マイナス)であった由である。

 この推計がどの程度、正確であるのかは定かでないが、少なくとも昨年に比すれば好調であったことは間違いないのであろうが、過去最高水準と言うほどでもなさそうである。

 また、作物ごとの内訳を見た印象としては、稲作は田植え、刈り入れなどのたびに最も焦点があてられた割に上昇幅が小さく、一方、トウモロコシやイモ類があまり強調されていない割に大きく上昇しているのは、皮肉な結果といえよう。また、金正恩の肝いりで増産が強調された麦類については、確かに上昇幅は最大であるが、絶対量としては、まだまだの水準でしかないのも、意外である。

 こうした状況について、下旬開催が予告されている党中央委員会全員会議においては、どのような総括がなされるのか注目される。