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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月28日 全員会議2日目状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、26日から開催されている党中央委員会第8期第9回全員会議拡大会議の2日目(27日)に関する記事を第1面を費やして掲載し、金正恩が「2024年度の闘争方向に対する綱領的な結論」を行ったことを報じた。

 記事によると、同「結論」は、24年の基本的位置づけ(「5カ年計画遂行の明白な実践的保証を確保すべき画期的な年」)にはじまり行政・経済、社会、軍事・外交、党建設などの分野ごとの課題・目標を示したものである。その主な骨子は、次のとおりである。

  • 行政:「国家的な行政・経済活動システムと秩序を強化し、内閣の責任感と役割をさらに強める」
  • 経済:「新年度に金属、化学、電力、石炭、機械など基幹工業部門と軽工業、建設をはじめ、経済の全般において強力に推進すべき重点課題とその遂行方途」、特に、「農村住宅の建設をはじめ農村振興を加速・・農業生産を高い水準で安定化」及び「国土環境保護事業、都市経営事業の改善を着実に推進し、首都市民により文明的で豊かな生活条件を提供」。このほか「地方産業、水産業発展の重点目標」や「対外経済事業を拡大し、発展」の方針も提示
  • 社会:「科学、教育、保健医療、文学・芸術、出版・報道、スポーツをはじめ文化部門」、「人民政権機関と法機関」、「勤労者団体」などの活性化、機能強化
  • 軍事:「人民軍と軍需工業部門、核兵器部門、民防衛部門が戦争準備の完成に一層拍車をかけるための戦闘的課題」を提示
  • 外交:「反帝・自主的な国との戦略的協力関係を拡大して発展させ、国際的規模で反帝共同行動、共同闘争を果敢に展開」の方針提示の上、「対外・対南事業部門の活動方向を宣明」
  • 党建設:「党の組織的・思想的基礎をより強固にし、党の思想活動を発展する現実の要求に即して革新する上で提起される重要問題」を強調

 会議の進行としては、まず、昨年度の総括について金正恩が「報告」を行い、それを受けての個別部門に関する「討論」を経た上で、来年度課題についてこの「結論」で示したということであろうか。

 いずれの事項も、かねて追求してきたことの繰り返しであり、何らの新味もない。細かい点を言えば、「対南事業」との表現に注目したい。これを見る限りでは、一時のような「対敵」でもなく、最近の「大韓民国」呼称を受けた「対韓」でもなく、伝統的な「対南」に落ち着いた感がある。

 また、文化部門の活動と人民政権機関・法機関、勤労者団体(青年同盟、女性同盟など)をまとめて論じているのも興味深い(「社会」との見出しは筆者が付加)。これらをすべて、人民掌握の手段・道具と位置付けていることの表れといえるのではないだろうか。

 記事は、第2日目の内容としては、この金正恩の「結論」だけを報じた上で、「会議は、上程された議案の討議を続けている」と結んでいる。今後、この直後かあるいは他の議案の審議後かは定かでないが、「結論」で示された諸課題の具体的実践方策などを討議するための分科別協議が行われるのではないだろうか。