rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年2月21日 個別企業の「特殊化」「本位主義」を排撃

 

 本日の「労働新聞」は、第1面に「経済規律強化は国家の復興発展と直結した重大事である」と題する論評を掲載している。

 同論評は、前段で、「経済事業において中央集権的規律と秩序を確立することは社会主義経済の本質的要求」であるなどの理由を挙げて、「経済規律強化」の必要性を強調している。ここで、「経済規律強化」が実体的に意味するのは、内閣の指導・指揮能力の強化である。そのためには党中央(=金正恩)の権威を借りることも辞さず、「すべての部門と単位が内閣の統一的指導と指揮に絶対服従する厳格な経済規律と秩序を確立することは、本質において経済建設に対する党中央の思想と領導をより徹底して実現するということ」との主張も展開している。

 後段では、そうした「経済規律強化」のための方法として、第1に「内閣と国家経済指導機関幹部が責任的で科学的な執務姿勢を持つこと」、第2に「すべての部門、すべての単位が国家的立場と愛国的姿勢で内閣の統一的指揮に自発的に歩調をそろえること」をあげている。

 論説は、最後に経済建設の現状に基づく要求として、規律違反に対する「党的、行政的、法的闘争をより強く展開すること」を訴えた上で、その対象として、「厳格な経済規律確立における最大の敵は単位特殊化、本位主義である」と指摘している。

 こうした論説掲載の狙いは、現在、既存の経済計画に並行する形での「地方発展20×10政策」の提唱により、各生産現場などに対する上からの要求も付加され、個別企業の経営・運営面での緊張が一層高まっている中で、利己的な行動を取ることを戒め、「愛国的」つまり個別的利害得失にこだわらず国家的視野に立って献身することを求めるためと考えられる。