rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月9日 三池渕市整備第3段階工事の概要と担当組織

 

 今日の「労働新聞」には、「正面突破戦の気象、果敢な攻撃精神があふれる白頭地区 三池渕市整備3段階工事場において」との共通タイトルの下、同工事への取り組み状況を報じる一連の記事が掲載されている。

 そのうち「もう一度天地開闢の新歴史を」と題する記事は、同工事を担当する「216師団現地指揮部」の幹部の発言を伝えるものであり、「党創建75周年までに三池渕市整備3段階工事を結束するかできないかということは、偉大な我が党の権威、主体朝鮮の尊厳と結びついている極めて重大な問題」と述べ、同工事の帯びる政治的意義を強調している。

 また、同工事の規模については、「10余個の(三池渕市)周辺地区、農場において数千世帯の住宅と公共及び生産建造物建設、750余個の各種施設物と数百キロメートルの送電線建設、数十キロメートル道路舗装工事と何棟かのホテルをはじめとした20余個の重要対象建設」を行うものであり、「これは2段階工事に比べ、1.4倍になる量である」としている。

 同工事に従事するのは、今日の一連の記事に現れた限りでは、同師団及び人民軍部隊であり、前者については、①省・中央機関旅団、②白頭山英雄青年旅団、③618建設旅団、④922建設旅団、⑤鉄路建設旅団及び師団直属の電力連隊、道路連隊、人民保安省連隊などで構成されるとみられる。

 このうち①には直属体育省中隊があり、内閣の各省・委員会などを母体として、それぞれの規模に応じた連隊ないし中隊で構成されているのであろう。ただし、人民保安省については、他の機関に比して規模が格段に大きいため、師団直属の連隊を構成しているのであろう。②には平安北道連隊、江原道連隊、南浦市連隊があることから、全国各道・直轄市の青年組織を母体とした連隊で構成されているとみられる。また、③には咸鏡南道連隊、慈江道連隊ウシ郡大隊が、④には平壌市連隊、黄海南道連隊が含まれていることから、おそらく③が北方所在の、④が南方所在の道・直轄市を母体とした連隊で(各連隊は、当該道内の市・郡を単位とした大隊で)構成されているとみられる。⑤は、鉄道、電力、道路等の工事については、専門性及び一貫性を必要とするため、おそらくそれぞれの関連機関などを母体として、専任部隊が編制されているのであろう。

 一方、人民軍からの参加部隊として名称が報じられているのは、「張日洙所属部隊」「金光哲所属部隊」(人名は音訳)の二部隊だけである。これら部隊の規模及びこれ以外の参加部隊の有無などは明らかでない。今後の報道などを通じて更なる情報の蓄積を進めたい。

 なお、これら工事参加組織は、単に工事の施工を担当するだけでなく、そこで必要とされる機材・道具類及び建設材料なども自前で調達することが求められている。その充足のためには、おそらく現場に動員されている部隊だけでなく、その出身母体も相応の貢献を期待されているのであろう。同工事は、こうして文字通り全国の各界・各層の力量を総結集して進められているといえよう。