rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月18日 「紙上演壇 幹部達は勇敢な旗手、機関車になり、隊伍の前進を力強く導け!」

 

 標記の共通題目の下、6件の投稿記事が掲載された。いずれも、同題目に示されるように、幹部のあるべき姿勢、望まれる姿勢がいかなるものかを論じたものである。

 最初の記事は、「党政策の真髄を正確に把握しよう」と題し、「自力更生思想」の本旨について述べている。同記事は、「(それ)を具現するにおいて重要なことは何よりも国家に実質的な利益を与えつつも、単位と地域の力を強化することのできる正しい目標を設定すること」と主張し、自己の地域の目先の利益ではなく、大局的・長期的視点に基づく政策選択の重要性を訴えている。

 次の「責任問題について」と題する記事は、幹部が担当部署におけるすべての出来事の責任を負うべきことを主張し、成果は自分の功績、問題は下部の責任といった姿勢を戒めている。

 「最後まで頑張り必ずややり遂げる気質」との記事は、やり始めた仕事は、困難があってもへこたれず、中途半端に終わらせないことを訴えている。

 「人民はいかなる幹部を好み望むか」という記事は、鉱山の現場労働者(採掘工)によるものとされ、「(当該鉱山の)支配人同志」が述べた「現場で働く労働者が先生であるということを心に刻もう」との言葉を引用している。要するに、幹部は現場の声に耳を傾けよ、との訴えである。

 「我々が探し出した自力更生原理」は、企業所幹部によるものだが、「この機会に是非言いたいことは、幹部の手は党と国家に何かを下さいと差し出す手ではなく、国家に利益と支えを与える手にならなければならないということである」と述べ、原料・資材供給など目標実現に必要な条件を連発し、それが満足されなければ目標実現は無理とする現象を戒めている。

 最後の「滅私服務手帳」と題する記事は、ある幹部が人民への服務に関し、日々行うべき事項などを専用の手帳に記載し、確実な実践に努めていることを紹介している。

 以上の記事で主張された望ましい幹部像からは、逆に、北朝鮮において、そういった点に欠ける幹部が普遍的に存在していることがうかがわれる。すなわち、「本位主義」「責任回避」「途中放棄」「独善主義」「条件多発」「人民生活軽視」などの傾向である。

 もちろん、そういった問題は、必ずしも北朝鮮においてのみ存在するものではなく、「幹部」が抱える万国共通の問題であるのかもしれないが(自ら顧みて忸怩たるものあり)、北朝鮮の場合は、体制の特性上、その弊害が周囲に強く影響するのかもしれない。